アキノノゲシ(その他表記)Lactuca indica L.var.laciniata(Kuntze)Hara

改訂新版 世界大百科事典 「アキノノゲシ」の意味・わかりやすい解説

アキノノゲシ
Lactuca indica L.var.laciniata(Kuntze)Hara

日本全土の人里草地路傍に普通にみられるキク科の大型一年生または二年生草本。朝鮮,台湾にも分布する。直立する太い茎は,高さ2mにおよぶ。茎や葉は切ると白い乳液が滲出(しんしゆつ)する。葉は羽状に分裂するものとしないものがあり,多形的。8~10月ころ,茎の先が分枝し,舌状花のみからなる直径2cmほどの頭花をつけ,朝開き夕方閉じる。花の色は淡黄色で,タンポポノゲシなどと比べて白っぽい。黒色の果実には短い柄のある冠毛がつき,風によって散布される。野菜のレタスと同属で,有毒ではないので食用にされることがある。また,本種と同種とされるリュウゼツサイ(竜舌菜)L.indica L.var.dracoglossa Kitam.は,大きな全縁の葉をもつ一年草で,食用にされ,また飼料にもなる。台湾か中国から渡来したと考えられている。同属のムラサキニガナは,本州,四国,九州の山地に生え,紫色の頭花を夏から秋につける多年草である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アキノノゲシ」の意味・わかりやすい解説

アキノノゲシ
Lactuca indica

キク科の一年草または越年草。日本全土,アジア東部から南東部に広く分布し,平地日当りのよい草原に生える。全株無毛で,茎や葉の切り口から白汁が出る。茎は直立し高さ 1.5~2m。葉は互生し普通は羽状に分裂,緑白色で裏面は粉白色を帯びる。花期は9~11月。花序は長さ 20~40cmの円錐形。頭花は径約 2cmで,淡黄色舌状花のみからなり,日中のみ開き夕方しぼむ。総包は長さ 12~15mm。痩果は長さ約 5mm,黒色で白色冠毛をもつ。葉が狭く全縁のものをホソバアキノノゲシとして区別することもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アキノノゲシ」の意味・わかりやすい解説

アキノノゲシ
あきののげし / 秋野芥子
[学] Lactuca indica L. var. indica

キク科(APG分類:キク科)の一、二年草で、低地の草地に普通にみられる。大形で、直立する茎は太く、高さ1~2メートルになる。葉は黄褐色を帯び、多くは羽状に分裂する。8~10月ごろ径2センチメートルほどの淡黄色の頭花を多数つける。頭花をつくる小花は舌状花のみ。黒色の痩果(そうか)には冠毛があり、風散布される。和名は、花がノゲシに似て秋に咲くことによる。日本、朝鮮、中国、東南アジアに広く分布する。レタスと同属で、近縁種に飼料植物リュウゼツサイがあるが、アキノノゲシは食用にも飼料にも利用されていない。同属の野生種にヤマニガナ、エゾムラサキニガナなどがある。

[森田龍義 2022年1月21日]


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百科事典マイペディア 「アキノノゲシ」の意味・わかりやすい解説

アキノノゲシ

キク科の一〜二年草。日本全土および東アジアの熱〜温帯に分布し,山野にはえる。茎は高さ1〜1.5m,上部に円錐花序を作る。葉は深く羽裂し,上面緑白色,下面粉白色。茎や葉をちぎると白い汁が出る。頭花は黄色で径2cm内外,舌状花からなり,8〜10月ごろ開く。そう果は扁平で,先はくちばし状となる。

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