アサギマダラ(読み)あさぎまだら(英語表記)chestnut tiger

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アサギマダラ」の意味・わかりやすい解説

アサギマダラ
あさぎまだら / 浅黄斑蝶
chestnut tiger
[学] Parantica sita

昆虫綱鱗翅(りんし)目マダラチョウ科に属するチョウ日本では北海道から沖縄諸島に至る全土に発見される。北海道、東北地方などの寒冷地では、例外的な場合を除いて夏に少数の個体が発見されるのみであるが、これはより南方地域からの移動個体、あるいは移動個体による一時的な発生と考えられる。西南日本では夏季に山の頂上に群飛することが多い。日本以外では朝鮮半島、台湾、中国から西北ヒマラヤにわたって分布する。はねの開張は90~100ミリメートル程度で大形雌雄の色彩や斑紋(はんもん)は同様であるが、雄では後ろばねの後方に表裏ともに黒斑状をなす光沢のない性標があり、これによって雌雄は容易に見分けられる。西南日本では5月ごろから11月ごろまで成虫飛翔(ひしょう)をみるが、奄美(あまみ)諸島や沖縄諸島では冬を挟んで秋から春にかけて多く、夏季にはほとんどその姿をみない。飛び方は緩く、各種の草花に集まる。幼虫の食草はカモメズル、キジョラン、サクラランなどのガガイモ科植物である。アサギマダラは九州以北の日本本土に土着する唯一のマダラチョウ科の代表であるが、吐噶喇(とから)列島以南の南西諸島にはさらにリュウキュウアサギマダラカバマダラスジグロカバマダラオオゴマダラの4種の土着種がある。なお、マダラチョウ科のチョウは東南アジア地域より迷チョウとして日本に飛来するものが多く、現在まで日本、とくに南西諸島で発見されたものはマルバネルリマダラなど17種にのぼる。

白水 隆]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アサギマダラ」の意味・わかりやすい解説

アサギマダラ
Parantica sita

鱗翅目マダラチョウ科。前翅長 60mm内外。前翅は黒色,後翅は赤褐色で,それぞれに淡青白色のやや透明な斑紋をもつ。美麗種。雄は後翅後角部に斑紋状の性標がある。飛翔は緩慢。年数回発生する。幼虫はガガイモ科のキジョラン,カモメヅルなどを食べる。日本全土に産し,朝鮮,中国から東南アジア,ヒマラヤ,カシミールまで分布する。 (→マダラチョウ )

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