日本大百科全書(ニッポニカ) 「マダラチョウ」の意味・わかりやすい解説
マダラチョウ
まだらちょう / 斑蝶
tiger and crow
昆虫綱鱗翅(りんし)目マダラチョウ科Danaidaeの総称。マダラチョウという種は存在しない。タテハチョウ科、ジャノメチョウ科に近縁のもので、学者によっては広義のタテハチョウ科のなかの1亜科とすることもある(その場合にはジャノメチョウ科も同じく亜科となる)。その産地は熱帯から亜熱帯で、とくに東洋熱帯と南アメリカに種類が多い。中形から大形のチョウで、例外的な小形種でもモンシロチョウ程度。飛び方は緩やかで蜜(みつ)を求めて花に集まる。日本本土の土着種はアサギマダラの1種のみで、南西諸島ではそのほかカバマダラ、スジグロカバマダラ、リュウキュウアサギマダラ、オオゴマダラの4種が土着種。南西諸島ではほかにマダラチョウ科に属する南方地域からの迷チョウが多い。幼虫の食草は、ガガイモ科、キョウチクトウ科、クワ科が主要なもので、これらの植物に含まれる有毒成分を体内に蓄積しているので、鳥類も捕食しないといわれている。
[白水 隆]