日本大百科全書(ニッポニカ) 「アサヒヒョウモン」の意味・わかりやすい解説
アサヒヒョウモン
あさひひょうもん / 旭豹紋蝶
Freya's fritillary
[学] Clossiana freija
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。北海道大雪山群のおおよそ1800メートル以上の山地に分布する高山チョウで、国の天然記念物に指定されている。日本以外では中国東北部の大興安嶺(だいこうあんれい)、北シベリア、ラップランド、スカンジナビア、アラスカ、カナダ、北アメリカの山地など北極を巡る寒冷地に分布し、周極種circumpolar speciesとして知られている。日本のヒョウモンチョウ類のなかではもっとも小形。はねの開張は35ミリメートル内外。年1回発生し、普通7月上旬から8月中旬までみられ、7月中旬から下旬が最盛期。晴天の際は地上を低く、花畑の上を群飛するが、陽が陰るとたちまちその姿を消す。幼虫の食草はガンコウラン科のガンコウラン、ツツジ科のキバナシャクナゲ、クロマメノキである。日本では本種の近縁種にカラフトヒョウモン、ホソバヒョウモンの2種があり、ともに北海道に産する。
[白水 隆]