スカンジナビア(読み)すかんじなびあ(英語表記)Scandinavia

翻訳|Scandinavia

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカンジナビア」の意味・わかりやすい解説

スカンジナビア
すかんじなびあ
Scandinavia

ヨーロッパ北部に位置するデンマークノルウェースウェーデンは一般にスカンジナビアとよばれる。しかし厳密な規定はなく、便宜上、狭義にはこの3国とし、広義には「北欧」と同義とみてフィンランドアイスランドを含める場合もある。以下は狭義のスカンジナビアについて解説する。

 語源はスウェーデン南部スコーネSkåne地方のラテン語綴(つづ)りスカンディアScandiaから転じたものといわれる。3国の人口は約1878万人(2001)、面積約81万7000平方キロメートル。スカンジナビア半島は中央より西寄りに古生層からなる2000メートル級のスカンジナビア山脈を配し、これがノルウェーとスウェーデンの中・北部国境となっている。更新世(洪積世)の氷河時代に氷床の中心がボスニア湾上にあったため、そこから拡大した氷床によって山脈侵食を受け、山脈の西側は高原状の山地にU字谷ができ、そこに海進がおこってフィヨルドができた。東側斜面には細長い氷河湖が生まれたが、浸食作用によって表土が持ち去られた外側の地域には丘陵と無数の湖水が出現し、その結果半島の南部には平野が形成された。気温は、半島西部では暖流の影響を受けて高緯度のわりには冬は温暖であるが、内陸部と大陸性気団の影響を受ける東部は寒冷である。

 スカンジナビア三国はビーキング(バイキング)時代(8世紀末~11世紀なかば)に北ゲルマン系のスベア人(イェート人を含む)、デーン人、ノルウェー人によってそれぞれ国家の発生をみ、海外交易で知られた。10世紀前後にキリスト教が渡来し、現在の3国が形成されたが、1397年にカルマル連合が成立し、デンマークが支配権を握った。1523年にスウェーデンはデンマークからの独立に成功したが、ノルウェーは1814年までデンマークの支配を受けた。ノルウェーはその後さらに同君連合の名のもとにスウェーデンの支配下に置かれたが、1905年に独立した。第一次世界大戦では3国とも中立を保持できたが、デンマーク、ノルウェー両国は第二次世界大戦でドイツの占領下に置かれ、戦後、その2国はNATO(ナトー)に加入している。1953年に北欧会議(Nordic Council)が発足し、域内(アイスランドを含む。フィンランドは1955年に加盟)で移動、就業、社会保険の受理が可能となるなど、域内の社会、経済、文化、交通・通信、法律などさまざまな分野での協力を進めてきた。デンマークは73年からEU(ヨーロッパ連合)の前身のEC(ヨーロッパ共同体)に、スウェーデン、フィンランドは95年からEUに参加しているものの、北欧各国間の協力関係は変わっていない。言語は語源的に共通のノルド語系の言語を使用し、各国語の話しことばは発音がそれぞれ異なるが、書きことばでは十分に理解しあえる。通貨はそれぞれ異なるが、名称はクローネの共通名でよばれる(正確にはスウェーデンではクローナ)。国旗には3国とも左寄りの十字があしらわれ、「スカンジナビア・クロス」とよばれる。

[村井誠人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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