アザンデ族(読み)アザンデぞく(英語表記)Azande

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アザンデ族」の意味・わかりやすい解説

アザンデ族
アザンデぞく
Azande

南スーダンコンゴ民主共和国中央アフリカ共和国にまたがる多湿サバナに分布する民族。ザンデ族 Zandeともいい,古くはニャムニャムと呼ばれた。言語はニジェール=コンゴ語派のシャリ=ナイル諸語に属する。20世紀末の時点で人口は 380万以上が確認されている。18世紀に起源を異にするさまざまな民族集団からなる征服王国が形成され,その混合した集団を起源とするため,複雑な構成を示す。かつては,多くの王国に分かれ,各王国はさらに地方分国群に分かれていた。地方分国の自主性は高く,実際上の最大政治単位であった。王族を含む貴族平民の 2階層がある。一夫多妻制で,家族が基本的な社会単位であり,父系氏族は平民の間では連帯性がゆるく,政治的意義も大きくない。氏族はそれぞれのトーテムをもつ。人間には二つの魂があり,死によって,一つはトーテム動物になり,もう一つは祖霊に合体すると信じられている。また妖術信仰が盛んであるが,これは特定の不幸や死の原因を説明する一つの方法である。法体系がよく発達し,裁判は託宣と密接に結びつく。高位者の託宣ほど権威をもった。生業焼畑農耕中心狩猟漁労を行ない,鉄細工,彫刻陶器など工芸技術に優れる。

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