ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アジア考古学」の意味・わかりやすい解説
アジア考古学
アジアこうこがく
Asian archaeology
(1) 西アジア ヨーロッパ,アフリカにつながる要素が強く,同じアジアのなかでも東アジアとは隔絶した特徴をもっている。古くから欧米人がみずからの文明の発祥地として研究・発掘を進めてきた経緯がある。「ヨーロッパ,アフリカの農耕・牧畜の故郷」,さらには「現生人類の誕生地」という意味合いがこめられた調査が続いている。1980年代以降は,巨大ダム工事などに伴う事前調査によって新たな発見・実証が相次いでいる。
(2) 南アジア ヒマラヤ山脈とインド洋によって隔絶されたインド亜大陸は,ユーラシア大陸の気候帯の接点となっているため,農耕や人文現象をはじめ,さまざまな面で東西文化の接点としての特徴がみられる。1970年代以降の調査・研究によって,各時代における新たな知見が加えられている。
(3) 東南アジア 南アジアと東アジアに類似した様相を呈するこの地域は,旧植民地時代の宗主国によって研究が始められた。だが,各地域における研究・調査に大きな差が出ていることもあり,具体的な遺跡などを通じて地域全体を通観できるまでにいたっていない。民族学とのかかわりが特に深い点を特徴とする。
(4) 北・中央アジア ユーラシア大陸の中央部,東西文明圏の中間点に位置することから,文化的には両者の中間的な様相を呈することが多い。かつてはほとんどがソビエト連邦に属していたため,ロシア革命以降ソ連の調査隊によって研究・調査が進められた。砂漠や針葉樹林帯などが多いことから未知の部分も多く残されている。
(5) 東アジア 地理的要素を反映し独自性が強く,西アジア,ヨーロッパ,アフリカとは異なった文化圏を形成する。東アジアに属する中国,日本列島,朝鮮半島については中国考古学,日本考古学,朝鮮考古学を参照。
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