あずきなし(読み)アズキナシ

デジタル大辞泉 「あずきなし」の意味・読み・例文・類語

あずき‐な・し〔あづき‐〕

[形ク]《「あじきなし」の上代語形》満足できない。ふさわしくない。無益だ。
「なかなかにもだあらましを―・く相見そめてもあれは恋ふるか」〈・二八九九〉

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精選版 日本国語大辞典 「あずきなし」の意味・読み・例文・類語

あずき‐な・しあづき‥

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 「あじきない(味気無)」の古形。心に満足できない。ふさわしくない。不当である。
    1. [初出の実例]「小豆奈九(あづきナク)何の狂言(たはこと)今更に童言(わらはごと)する老人(おいひと)にして」(出典万葉集(8C後)一一・二五八二)

あずきなしの補助注記

「ああつきなし」の変化したものともいわれる。「つきなし」は似合わしくない意。平安時代以降「あぢきなし」となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「あずきなし」の意味・わかりやすい解説

アズキナシ
あずきなし / 小豆梨
[学] Aria alnifolia (Sieb. et Zucc.) Decne.
Sorbus alnifolia C.Koch

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木で、高さ20メートルにもなる。枝は紫褐色で、白色の皮目が点在する。葉は互生し、卵形ないし楕円(だえん)形、長さ5~10センチメートル、側脈は8~10対で、まれに13対のものもあり、縁には重鋸歯(じゅうきょし)がある。5~6月に径1~1.5センチメートルの白色5弁花を開く。果実楕円形で秋に紅熟する。名はこの果実の形と大きさからつけられた。別名ハカリノメは、枝に点在する白色の皮目を秤(はかり)の目に見立てたもの。北海道、本州四国九州山地に広くみられ、朝鮮、中国、ウスリー地方にも分布する。材は堅く、建築家具材に用いる。

[鳴橋直弘 2019年12月13日]

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百科事典マイペディア 「あずきなし」の意味・わかりやすい解説

アズキナシ(小豆梨)【アズキナシ】

バラ科の落葉高木。北海道〜九州,東アジアの山地にはえる。若枝紫黒色で皮目が目立つため,ハカリノメの別名もある。葉は卵形〜楕円形で長さ5〜10cm,先はとがり,縁には重鋸歯(きょし)がある。5〜6月若枝の先に散房花序をつけ,径約1.5cmの白色の5弁花を開く。果実は楕円形で10〜11月赤熟。樹皮は染料,材は器具,家具,建築に使う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「あずきなし」の意味・わかりやすい解説

アズキナシ(小豆梨)
アズキナシ
Sorbus alnifolia

バラ科の高木で,日本各地の山地や丘陵地に普通に生じる。枝は紫褐色で皮目がある。葉は長さ5~10cmの卵形ないし楕円形で表面は緑色,裏面はやや淡色で8~10対の側脈が隆起していて目立つ。春に,径 1cmあまりの5弁の平開する白花を多数散房状につける。果実は赤い長楕円形で長さ数 mm,色と形がアズキを連想させる。

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世界大百科事典(旧版)内のあずきなしの言及

【ウラジロノキ】より

…また,きれいな若葉をつけた枝は生花材料にされる。 近縁の種にアズキナシS.alnifolia C.Kochがあり,葉は卵形で,裏面は白くない。ウラジロノキより,やや高い山地に生じ,北海道から九州まで分布し,中国大陸にも見られる。…

※「あずきなし」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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