アナクシメネス(読み)あなくしめねす(英語表記)Anaximenēs

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アナクシメネス」の意味・わかりやすい解説

アナクシメネス
あなくしめねす
Anaximenēs
(前585ころ―前528ころ)

古代ギリシア哲学者小アジアのイオニア地方の町ミレトスに生まれる。アナクシマンドロスの後継者とされるが、著作は失われ、わずかな断片を残すのみである。万物のもとのもの(アルケー)は神的な空気で、この空気が希薄になると暖かい火が生じ、濃厚になると冷たい水や土や石などが生じるが、この希薄化と濃厚化を通じて生じたあらゆるものは、ふたたび空気へ返るというのが、その教えの根本である。この空気はまた生命原理でもあり、したがって人間の魂も空気であって、「空気であるわれわれの魂がわれわれを統率しているように、気息(プネウマ)すなわち空気が世界全体を取り巻いている」と説くとともに、大地は平板状であって空気の上に乗っているとか、天体は大地から立ち上る蒸気が希薄となり火となってできあがったものであるとか説いたと伝えられる。

鈴木幹也

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アナクシメネス」の意味・わかりやすい解説

アナクシメネス
Anaximenēs

[生]前585頃
[没]前528頃
ミレトス学派 (→イオニア学派 ) のギリシアの哲学者。アナクシマンドロス弟子。彼は万物の根源アルケ archēを,無限ですべてを包括し不断に運動する空気 aērであるとし,その濃度の変化という点から自然界一元論的説明を試みた。水を archēとしたタレスの一元論を発展させた彼は,ミレトス学派の完成者としてアナクサゴラスや原子論者,自然学者らに大きな影響を与えた。

アナクシメネス[ランプサコス]
Anaximenēs of Lampsakos

[生]前380頃
[没]前320
古代ギリシアの歴史家,修辞学者。ゾイロスの弟子。彼の著述した史書はヘレニカ,フィリッピカおよびアレクサンドロス3世 (大王) に関するものであったが,わずかな断片しか残っていない。

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