セイシュ(読み)せいしゅ(その他表記)seiche

デジタル大辞泉 「セイシュ」の意味・読み・例文・類語

セイシュ(seiche)

静振

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セイシュ」の意味・わかりやすい解説

セイシュ
せいしゅ
seiche

湖や港湾でおこる長周期の波で、周期が場所ごとにほぼ決まっている固有振動。もとはスイスの方言であったが、現在では国際的に通用し、静振(せいしん)と訳する。港湾の場合は潮汐(ちょうせき)と重なって観測されるので、潮汐の副振動ともよばれる。全振幅(谷から山までの高さ)が1メートル程度以上になると、陸上への浸水や小型船舶の流失転覆などの被害が生じるようになる。このような普段見られない大きなものは、異常潮ともよばれる。

 バケツなどに入れた水を揺すって置くと、全体の水が規則的に揺れ動く現象がみられる。湖などでも、突風気圧変動によって水面に力が作用すると、同じような水の振動が生じる。海では、気圧波や強風によって外洋で生じた長波伝播(でんぱ)して、港湾で共振をおこし、セイシュとなることも多い。まれに、地震に伴う地形変化によって大きなセイシュが発生する。この場合は津波として扱われる。

 セイシュの卓越周期T、湖や湾の長さをl、平均水深をh、重力加速度をgとすると、閉鎖された細長い湖では

開口部のある細長い湾では

の式で基本的に求められる。日本では数分~数十分の周期をもつ湖や港湾が多い。

[岡田正実]

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海の事典 「セイシュ」の解説

セイシュ

港湾・陸棚や湖沼の起こす固有振動をセイシュと呼ぶ。語源ジュネーブ湖に起こる長周期の振動に対する方言からきている。静振あるいは副振動とも呼ばれ る。セイシュを起こす原因は気圧振動や風等種々あるが、外洋に開いた海湾では外からくる各種の波動が重要である。例えば大船渡湾の固有振動周期は約40分 あるが、周期が長かったチリ津波に対して共鳴現象を起こし、湾奥に大きな被害をもたらした。 (永田)

出典 (財)日本水路協会 海洋情報研究センター海の事典について 情報

百科事典マイペディア 「セイシュ」の意味・わかりやすい解説

セイシュ

静振(せいしん)とも。湖沼や湾内でみられる水の固有振動。深層までの水が振動する定常波で,容器中の水が容器の中央を軸として振動するのと同じ。地震,気圧の局地的変動,風の吹寄せなどが原因で起こる。湖水の場合振幅数cm,周期60分以内が普通。

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世界大百科事典(旧版)内のセイシュの言及

【地震】より

…大地震のとき,地震波に含まれる長周期の成分に共振して,湖などの水がゆっくりと振動することがある。これが地震によるセイシュseiche(静振)で,巨大地震の際には地震動を感じない遠隔地の湖でセイシュが目撃されることがある。海底の斜面が地震動によって地すべりを起こし,土砂が混濁流として非常な遠方まで運ばれることもある。…

※「セイシュ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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