日本大百科全書(ニッポニカ) 「アペル」の意味・わかりやすい解説
アペル
あぺる
Karel Appel
(1921―2006)
オランダの画家。アムステルダムに生まれ、同地の美術学校に学んだ。1948~1951年「コブラ」グループの代表的なメンバーとして活躍。1950年パリに移住。1951年アンフォルメルの批評家ミシェル・タピエMichel Tapié(1909―1987)を知り、啓発される。1954年ベネチア・ビエンナーレ展でユネスコ奨励賞、1959年サンパウロ・ビエンナーレ展で国際絵画賞、1960年ニューヨークのグッゲンハイム国際展で絵画大賞を受ける。1958年パリのユネスコ本部、ブリュッセル万国博覧会のオランダ館にそれぞれ装飾画を描く。奔放な色彩を駆使し、激しいタッチと単純化した輪郭線によって形象(主として人間像)を描くが、それは描く行為と内的なイメージとの激突によって招来される主観の表出であり、幻視の形象である。1966年からレリーフ絵画の制作を始め、合板、陶、ポリエステルおよび金属を素材とした可動部分をもつ彫刻作品を手がけた。日本では1959年(昭和34)東京の現代画廊、1971年同じく南天子画廊で個展を行った。1973年コペンハーゲンのコート画廊でコブラ創立25周年回顧展が催された。
[野村太郎]