改訂新版 世界大百科事典 「アメリカ輸出入銀行」の意味・わかりやすい解説
アメリカ輸出入銀行 (アメリカゆしゅつにゅうぎんこう)
Export-Import Bank of the United States
略称EXIM(エクシム),またEIBともいう。アメリカと諸外国との貿易に金融的援助を与え,その円滑化をはかることを目的とした政府全額出資の政府特殊金融機関。本部ワシントン。1934年に,旧ロシア帝国の対米外債処理を目的としてコロンビア地区の特別区法に基づいてワシントン輸出入銀行の名で設立された。第2次大戦中は,軍事政策に沿った対外信用供与を行った。45年の輸出入銀行法でアメリカ政府の独立機関となり,現在の体制となった。61年にアメリカ国際開発局Agency of International Development(AID)設置に伴う業務改革が行われ,68年に現名称に変更された。資本金は10億ドルで,全額政府出資。資金は,財務省借入金(60億ドルが限度)と連邦銀行借入れによるが,現在は後者が主。業務の内容は,海外(共産圏を除く)の原子力プラント,石油開発,航空機等購入に対する長期融資とCFF(cooperative financing facility,一種の協調融資),そして転貸融資,市中銀行融資,特別外国貿易融資(国際収支赤字補てんのための融資)がある。このほかに,中期輸出金融の保証と輸出保険業務も行っている。アメリカからの輸出促進が主たるねらいである。融資先は,中南米,アジア,ヨーロッパが中心。日本との関係では,〈綿花借款〉の供与が有名である(〈借款〉の項目参照)。
執筆者:結城 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報