日本大百科全書(ニッポニカ) 「全国産業復興法」の意味・わかりやすい解説
全国産業復興法
ぜんこくさんぎょうふっこうほう
National Industrial Recovery Act
アメリカ合衆国のニューディール政策における中核的法律。頭文字をとってNIRAともよばれる。1933年6月、第73議会の「最初の百日間」の最後の主要立法となった本法は、沈滞した工業の回復のために産業および労働者の組織化を認め、他方で失業救済の公共事業促進を図った。各産業分野ごとに公正競争規約をつくらせ、産出量や価格の調整など一種のカルテル化を認め、同時に賃金、労働時間の基準を定め、労働組合結成、団交権を認めた。2年後、州権侵害などで違憲判決を受け短命に終わったが、経済復興政策の中心として一定の役割を果たした。しかし、労働者への保証は不十分であり、また中小企業にも不利で、企業の独占化を助長した。
[長沼秀世]