一般に,一つの融資案件について幹事銀行(通常,主取引銀行がなる)を中心に2行以上の銀行が参加して行う貸付けをいう。このメリットは,危険分散ができること,巨額の資金が調達できること,融資機会が増大することである。協調融資には大きく分けて次の三つのタイプがある。(1)国内の融資において,地方銀行と都市銀行,あるいはいくつかの都市銀行どうしといった市中銀行の組合せによって行われるもの(市中協融)。協調融資といった場合,一般にこのタイプをいう。(2)海外のプロジェクト受注などの際に行われる,政府系金融機関(日本輸出入銀行,日本開発銀行等)と都市銀行による協調融資。たとえば輸銀の低利資金と市場金利に基づく都市銀行の資金をミックスし,比較的低利な資金を供給するものである。(3)海外の銀行と協同で行う融資。この形は,国際金融市場の拡大や,日本の銀行の国際化を背景に,1970年代に急速に拡大した。
執筆者:結城 隆
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大型の設備投資などで、一つの銀行だけではその資金需要をまかないきれないような場合、特定の金融機関(通常は主取引銀行)が幹事となり、複数の金融機関で、融資金額、分担割合、期間、金利、担保条件などを協定して同時に融資を行うことをいう。近年は大口プロジェクト融資の多い海外向け長期貸付(円建て、ドル建て)が増加し、これが協調融資の形で行われており、シンジケート・ローンsyndicated loanとよばれている。協調融資は、各個別銀行にとって、資金負担の軽減、危険分散、競争回避(金利などについて)などの効果をもつ。似たようなケースに共同融資がある。これは、協調融資が融資条件などの協定にとどまり、融資自体は参加各行が個別に行うのに対し、資金を幹事銀行にプールする点で異なる。
[那須正彦]
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