日本大百科全書(ニッポニカ) 「アラバスター」の意味・わかりやすい解説
アラバスター
あらばすたー
alabaster
硫酸塩鉱物の一つ。雪花石膏(せっかせっこう)ともいう。石膏の微細結晶の塊状集合で、多くは白色。純粋なものは半透明。堆積(たいせき)岩中に層状をなして産し、岩塩など塩類鉱床や石油鉱床に伴われ、また石灰岩とも共存する。不純物として、粘土鉱物、方解石、硬石膏、いわゆる褐鉄鉱などを含むことがある。古代エジプトや古代ギリシアで彫像、工芸品などに用いられた。いまでもイタリアなどで、この目的で採掘されている。良質のものは彫刻用素材として珍重されるが、日本では岩塩鉱床を欠くので、この目的の使用に耐えるものはまったく産しない。命名は、エジプトの地名アラバストロンAlabastronにちなむとされる。
[加藤 昭 2015年12月14日]