アルマジロ(読み)あるまじろ(英語表記)armadillo

翻訳|armadillo

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルマジロ」の意味・わかりやすい解説

アルマジロ
あるまじろ
armadillo

哺乳(ほにゅう)綱貧歯目アルマジロ科に属する動物総称。同科Dasipodidaeの仲間は、貧歯目の他科(アリクイ科、ナマケモノ科)より歯が発達し、上あごに7~26対、下あごに7~24対あるが、歯根はなくエナメル質を欠き、不換性である。体が骨質の甲らで覆われている唯一の哺乳動物である。甲らは肩甲と腰甲に分かれ、この間に7~10枚の横帯のあるアルマジロ亜科と、1枚の背甲と臀(でん)甲に分けられるヒメアルマジロ亜科とに大別される。北アメリカから南アメリカパタゴニアにかけ、ケナガアルマジロ属3種、ムツオビアルマジロ属1種、ピチアルマジロ属1種、オオアルマジロ属1種、スベオアルマジロ属4種、ミツオビアルマジロ属2種、ココノオビアルマジロ属6種、ヒメアルマジロ属2種の8属20種が知られている。大きなものではオオアルマジロPriodontes giganteusのように体長75~100センチメートル、体重30~60キログラムに達する種から、ヒメアルマジロChlamyphorus truncatusのように体長12~15センチメートル、体重80~100グラムほどのものまでみられる。

 乾燥した草原森林におもに単独ですみ、雑食性でアリや昆虫ミミズ爬虫(はちゅう)類などのほかに草の根、動物の死体なども食べる。夜行性で日中地下に穴を掘って過ごすこともあり、ココノオビアルマジロDasypus novemcinctusでは地下に長さ0.6~3.6メートルの穴を掘る。一般に穴を掘ることが巧みで、敵に襲われると穴を掘って逃げるが、ミツオビアルマジロTolypeutus tricinctusでは頭甲、肩甲、横帯、腰甲、尾を外に出し、完全な球状になって身を守る。泳ぐこともでき、ココノオビアルマジロでは6分間も水中に潜っていたことが観察されている。普通は冬眠することがないといわれているが、小形のピチアルマジロChlamyphorus truncatusでは冬眠することがあるという。繁殖は1産4~8子であるが、卵(らん)の発生は特異なもので、ココノオビアルマジロの場合、受精する卵は一つで、ごく初期に4個の胚(はい)に分かれ4頭が出産する。すなわち、生まれた子は一卵性の四つ子ということになる。

 アルマジロは古くはキュウヨ犰狳)またはヨロイネズミ(鎧鼠)といったが、今日では使用されていない。

[齋藤 勝]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルマジロ」の意味・わかりやすい解説

アルマジロ
Dasypodidae; armadillo

貧歯目アルマジロ科の動物の総称。約 20種から成る。体長 13~100cm。体の背面は鎧 (よろい) のような甲板に包まれている。腹部を内側にして完全に丸くなって敵から身を守ることができる種もある。昆虫類,死肉のほか植物質も食べる。北・中央・南アメリカに分布し,草原,林にすむ。

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