ラテン語のAngelus Domini(主のみ使い)という語で始まる〈お告げの祈り〉および,その時刻を知らせる教会の鐘。その起源は,朝・昼・晩の教会の祈り(時課)に人を集めるために鳴らしたもの。後に,その時刻にどこにいても〈お告げの祈り〉をして,神の子の受肉の秘義を記念するためにアベ・マリアを唱える信心ができた。結びの祈願には,キリストの受難と十字架の死と復活も記念されている。キリスト教国では,時計の少ない時代から朝・昼・晩(たいていは午前6時・正午・午後6時)に正しい時刻を知らせ,民衆の生活に深い宗教的影響を与えた。音楽や造形芸術にも多くの影響が見られる(J.F.ミレーの《晩鐘》など)。
執筆者:土屋 吉正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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