改訂新版 世界大百科事典 「イカルチドリ」の意味・わかりやすい解説
イカルチドリ
long-billed ringed plover
Charadrius placidus
くちばしが比較的長い小型のチドリ目チドリ科の鳥。ウスリー地方,朝鮮半島,中国東北部,日本に分布し,北の地方のものは冬,南へ移動する。日本では本州,四国,九州で繁殖し,多くの地方では留鳥。川の中州や河原,湖岸,水田などにすむ。全長約20.5cm。体の上面は灰褐色で下面は白く,顔には黒と白の模様があり,胸には黒い帯がある。脚は淡黄色。繁殖期にはつがいで,繁殖期以外には数羽から十数羽の小群で,水の近くの地上や水ぎわで昆虫などの動物質の餌をあさる。餌をとると頭をあげて数歩歩き,また餌をとって数歩歩くという動作はチドリ類に共通である。速く走ることもある。繁殖期には川の下流や海岸にはいない。河原などの地上に浅いへこみをつくり,1腹4卵を産む。卵の色は小石や地面の色とよく似ている。雌雄ともに抱卵し,抱卵日数は約25日。ピオ,ピオと鳴き,繁殖期には雄はピッ,ピッ,ピッと連続して鳴きながら飛び回る。
執筆者:高野 伸二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報