コチドリ(その他表記)Charadrius dubius; little ringed plover

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コチドリ」の意味・わかりやすい解説

コチドリ
Charadrius dubius; little ringed plover

チドリ目チドリ科全長 15~18cm。眼輪が黄色。夏羽(→羽衣)は額が白く,その後ろの頭上に黒と白の帯があって灰褐色の後頭に続く。眼上の後ろに白斑があり,過眼線から耳羽にかけて黒い。喉,頸から腹面も白いが,頸に黒い輪がある。背,肩,雨覆羽は灰褐色。尾は周囲が白く,中央部は灰褐色で先端に近い部位が黒い。脚はやや褐色を帯びた黄色。冬羽は黒色の部位が褐色になる。繁殖地はユーラシア大陸の高緯度地方とヒマラヤからモンゴルを除く地域,アフリカ北部,東南アジアニューギニア島に及ぶ。インドからニューギニア島にかけては周年生息する留鳥。ほかの繁殖地では夏鳥(→渡り鳥)で,地中海沿岸からアフリカ中部中国南東部,タイワン(台湾)などで越冬する。日本では九州地方以北の河原中州などの砂地,砂利地に営巣する。南西諸島では少数が越冬している。食性は昆虫や淡水にすむ無脊椎動物,草の種子など雑食である。(→渉禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「コチドリ」の意味・わかりやすい解説

コチドリ
little ringed plover
Charadrius dubius

白と黒の模様のはっきりした小型のチドリ科の鳥。ユーラシア大陸の中部および南部,北アフリカ,サハリン,日本,フィリピン,ニューギニアなどで繁殖し,北の地方のものは冬,南へ移動する。日本ではおもに夏鳥であるが,近年は越冬例が多くなった。河原,湖岸海岸干拓地入江,造成地などにすむ。全長約16cm。日本のチドリ類の中ではいちばん小さい。体の上面は砂褐色,額や顔には白と黒の斑紋があり,胸には黒い帯があり,腹は白い。くちばしは短くて黒く,脚は黄色。地上をすばやく歩いては餌をとり,また歩くという動作を繰り返す。餌は小型の動物質。湿った土を片脚をふるわせるようにしてたたき,餌をついばむこともある。地上にへこみをつくり,小石木切れを敷いて1腹4個の卵を産む。雛は綿羽に包まれ,かえってまもなく巣を離れる。小さな雛を連れた親鳥は擬傷動作を行う。ピオピオと鳴く。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コチドリ」の意味・わかりやすい解説

コチドリ
こちどり / 小千鳥
little ringed plover
[学] Charadrius dubius

鳥綱チドリ目チドリ科の鳥。全長16センチメートル。上面は褐色で下面は白色。顔は白地に、黒い過眼線と頭上を通って目と目を結ぶ黒線があり、目の周囲は細く黄色。嘴(くちばし)は黒色で短め。胸に黒帯がある。ユーラシアに広く分布、繁殖している。日本では夏鳥で、離島を除いてほぼ全国で繁殖している。冬には東南アジアまで渡る。湖沼畔や中流以下の川原、地肌の出た荒れ地などで繁殖する。地面のへこみに小石、貝殻片、木片などを敷いて4卵を産み、25日前後抱卵する。卵には褐色小斑(しょうはん)が散在し、地面の小石と見違えられるため、みつかりにくい。水田や湿地、川の泥地で採餌(さいじ)し、ミミズ類や昆虫類などを食べる。繁殖期以外は群れでいることが多い。

[柳澤紀夫]


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百科事典マイペディア 「コチドリ」の意味・わかりやすい解説

コチドリ

チドリ科の鳥。翼長11cm。ユーラシアに広く分布し,日本へは夏鳥として全国に渡来するが,暖地では越冬するものも見られる。河川敷や砂浜の海岸,埋立地などで繁殖し,地上に簡単な巣を作り2〜4卵を産む。水辺で採食し,水生昆虫やミミズを食べる。近年,営巣環境が荒らされ,数を減らしている。
→関連項目チドリ(千鳥)

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