イクバール(読み)いくばーる(英語表記)Sir Muhammad Iqbāl

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イクバール」の意味・わかりやすい解説

イクバール
いくばーる
Sir Muhammad Iqbāl
(1877―1938)

インドの詩人思想家。パンジャーブ州のシアールコットに生まれる。ラホールで大学教育を終え、ヨーロッパに留学、法律と哲学の学位を得る。1908年に帰国後、大学教授を経て弁護士の職につく。彼の思想にはニーチェ、ベルクソンらの西洋哲学の影響が強い。1930年にムスリム連盟のアラハバード大会で議長を務めるなど政治面でも活躍。とくにパキスタンでは、建国の思想的指導者として国民の絶大な尊敬を集めている。ウルドゥー語ペルシア語による多数の詩集のほか、『イスラムにおける宗教思想の再建』(1930)など英語で書かれた著書も多い。

鈴木 斌 2016年10月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イクバール」の意味・わかりやすい解説

イクバール
'Iqbāl, Sir Muḥammad

[生]1877.11.9. シアルコート
[没]1938.4.21. ラホール
インドの詩人,哲学者。熱心なムスリムの家庭に生れ,ラホール大学を卒業後ケンブリッジ,ミュンヘン両大学で哲学を学ぶ。特にニーチェとベルグソンから影響を受け,イランの神秘主義に関する研究で学位を得た。帰国後,弁護士を開業するかたわらペルシア語とウルドゥー語の詩を多数発表。その後政治の分野に参加し,1930年ムスリム連盟年次大会の議長に選ばれた際,就任演説でムスリム多住地域を合併して単一国家を打立てる構想を明らかにしたが,これはパキスタン建国によって実現した。主著に『自我の秘密』'Asrār-e khūdī(1915) など。

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