日本大百科全書(ニッポニカ) 「イサム・ノグチ」の意味・わかりやすい解説
イサム・ノグチ
いさむのぐち
Isamu Noguchi
(1904―1988)
アメリカの現代彫刻家。ロサンゼルスで詩人野口米次郎とアメリカ人女性との間に生まれる。日本で少年期を過ごしたのち渡米。初めボーグラムに彫刻を学び、1927年渡仏してブランクーシの助手となる。1932年ニューヨークに工房を構えて以来、公共彫刻やランドスケープ・デザインなど、また舞台美術の分野でも特異な活動を展開した。1940年代から埴輪(はにわ)と、ミロ、アルプ系の有機的な抽象形態を融合したフォルムによる堅牢(けんろう)で優美な造形を試み、多様な実験のうちに新しい可能性を追求した。1956年から3年がかりで完成したパリ・ユネスコ本部の日本庭園(石庭)、1970年の大阪万国博覧会の噴水などの庭園の造形や、ランプシェード「あかり」のデザインでも知られる。1985年に完成したニューヨークのノグチ・ミュージアムと、香川県牟礼(むれ)町(現高松市)のアトリエを拠点に日米で活動を続けていたが、1988年(昭和63)12月30日ニューヨークに没した。1999年(平成11)作品とアトリエを公開するイサム・ノグチ庭園美術館が香川県に開館した。
[桑原住雄]