イワウチワ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワウチワ」の意味・わかりやすい解説

イワウチワ(岩団扇)
イワウチワ
Shortia uniflora var.kantoensis

イワウメ科の常緑多年草。関東地方をはじめ中部日本の太平洋側山地の林下に生え,しばしば群生する。根生葉はロゼット状で長い柄があり,径3~7cmの扁円形,縁にあらい波状鋸歯があって先端はややくぼみ,基部は明らかな心形をなす。春に,株の中央から 10~15cmの花茎を直立させ,先端に1花をつける。花は淡紅色,鐘形で横向きに咲き,5裂する花冠の先端はさらに細かく糸状に裂ける。花の中心にめしべ1本,その周囲におしべ5本がある。果実は先のとがった卵形蒴果で,中に多数の種子がある。「岩団扇」の名は岩上に生じ,葉がうちわ形であることによる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワウチワ」の意味・わかりやすい解説

イワウチワ
いわうちわ / 岩団扇
[学] Shortia uniflora (Maxim.) Maxim.

イワウメ科(APG分類:イワウメ科)の常緑多年草。地をはう細い茎の先に群生する葉は革質、広円形または円形で先がへこむ。春、葉の腋(わき)から花柄を伸ばし紅紫色の1花をつける。花は鐘形で5裂し、裂片はさらに細かく裂ける。5本の雄しべと5個の仮雄蕊(かゆうずい)がある。山地の暗い所に生え、本州にのみ分布する。近縁のリュウキュウイワウチワはシマイワウチワともいい、奄美(あまみ)大島以南、台湾に分布し、花が白色である。この属にはほかに北アメリカ、中国に1種ずつ分布する。

山崎 敬 2021年4月16日]

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