日本大百科全書(ニッポニカ) 「インドキシル」の意味・わかりやすい解説
インドキシル
いんどきしる
indoxyl
複素環式化合物の一つで、3-ヒドロキシインドールの別名。天然にはインドキシルの配糖体であるインジカンのアグリコン(糖以外の成分をいう)としてタイセイ、アイなどの植物に分布している。
不安定な黄色の結晶で、アセトンによく溶け、水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどにも可溶。アルカリ性溶液中で容易に酸化されてインジゴになる。水酸化アルカリの存在下でフェニルグリシンナトリウム塩とナトリウムアミド反応をさせてインジゴを合成する。その際の中間体がインドキシルであるが、普通はインドキシルを単離しないで、そのまま酸化してインジゴにする。藍(あい)などのインジカンを含む植物を用いて、昔の方法で藍染めを行う場合にも、植物の汁をアルカリ性水溶液(灰汁など)と混ぜて空気を吹き込む操作により、植物中のインジカンを加水分解してインドキシルとし、それを酸化させるという二つの反応行程をいっしょに行って、藍色染料のインジゴをつくっている。
[廣田 穰]