インドジャボク(英語表記)serpentine tree
Java devilpepper
Rauwolfia serpentina (L.)Benth.ex Kurz

改訂新版 世界大百科事典 「インドジャボク」の意味・わかりやすい解説

インドジャボク
serpentine tree
Java devilpepper
Rauwolfia serpentina (L.)Benth.ex Kurz

通常,薬用として栽培されるキョウチクトウ科の常緑低木で,高さ0.3~1.5mとなる。葉は枝の上部に3枚が輪生または対生し,楕円形から長楕円状倒卵形で,長さ10~15cm,両端はとがり,淡緑色で無毛,中肋は裏面でいちじるしく突出し,側脈は10~12対で先端は上方に湾曲する。集散花序は散房状で腋生(えきせい)。花冠は高盆状,花筒は狭い円筒形でしばしば湾曲し,中央部以上で少しふくれ,紅色,長さ1.5~2cm,裂片は5枚で白色おしべは5本で花筒の中部に着生する。袋果は1~2個の球形で黒熟する核果状の部分からなる。中国(雲南省)からタイ,マレー半島,インドジャワに分布する。根および根茎はインドでは毒ヘビ咬傷や精神病の治療に用いられていたが,1950年代になって,レセルピンreserpineなど含有されるヨヒンビン系を主とする多数のアルカロイド類の構造や薬効についてくわしく研究され,重要な薬用植物(ラウオルフィアと呼ばれる)となった。中枢鎮静作用と,細動脈を拡張し血圧を降下させる作用があり,高血圧に効果がある。また内因性精神病やノイローゼにも安定剤として用いられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インドジャボク」の意味・わかりやすい解説

インドジャボク
いんどじゃぼく / 印度蛇木
[学] Rauvolfia serpentina Benth.

キョウチクトウ科(APG分類:キョウチクトウ科)の常緑樹。ネパール以東のインド、ミャンマービルマ)、タイ、マレー、ジャワなどに産する。高さ約1メートル。葉は光沢があり、長さ10~15センチメートル、幅4~5センチメートル、披針(ひしん)形で波縁状になり、対生または輪生する。花は筒状で5裂し、外側は淡紅色、内側は白色。果実は黒く熟し、中に淡黄色で網状紋様のある種子が1個ある。長さ25センチメートルほどの長い根を薬用にする。根は苦味があり、薬効成分はレセルピンで、中枢神経と脳に強い鎮静作用を示し、統合失調症(精神分裂病)の治療に用いる。また、民間薬としてヘビや毒虫の咬傷(こうしょう)、解熱などに用いられていた。

[星川清親 2021年6月21日]

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百科事典マイペディア 「インドジャボク」の意味・わかりやすい解説

インドジャボク

キョウチクトウ科の常緑低木で,高さ0.5〜1m。東南アジア〜インドに自生する。葉は2〜3枚が輪生し,長い花柄の先に集散花序がつく。根および根茎をラウオルフィアといい,レセルピンの抽出原料とし,またエキス血圧降下剤とする。インドでは古くからヘビの咬傷(こうしょう)の解毒,解熱,抗赤痢などに用いられた。播種後,普通2〜3年で収穫する。

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世界大百科事典(旧版)内のインドジャボクの言及

【レセルピン】より

…(化学式)インドジャボクなどの根から抽出されるアルカロイドの一種。ラウオルフィア属植物からはレセルピンのほかに十数種のアルカロイドが分離されているが,レセルピンは1952年に単離されて化学構造が決定され,56年に全合成された。…

※「インドジャボク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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