クローズアップ(英語表記)close-up

翻訳|close-up

デジタル大辞泉 「クローズアップ」の意味・読み・例文・類語

クローズアップ(close-up)

[名](スル)
映画や写真で、被写体またはその一部分を、画面いっぱいに拡大して映すこと。大写しアップ
特定の事柄を大きく取り上げること。「収賄事件がクローズアップされる」
[類語]映写上映試写大写し投影映す映し出す

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精選版 日本国語大辞典 「クローズアップ」の意味・読み・例文・類語

クローズ‐アップ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] close-up 正しくは「クロースアップ」 )
  2. 映画・テレビの撮影技法の一つ。対象の一部を大きく写し出すこと。また、その画面。アップ。大写し。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
    1. [初出の実例]「新聞の映画欄には入江たか子のクローズ・アップが載って居た」(出典:若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上)
  3. 特定の人や物事を大きくとりあげること。
    1. [初出の実例]「高良女史の存在が社会的に大きくクローズ・アップされたのは」(出典:蛙のこえ(1952)〈大宅壮一〉一番乗り)

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改訂新版 世界大百科事典 「クローズアップ」の意味・わかりやすい解説

クローズアップ
close-up

被写体(あるいはその一部)を大写しにする映画特有の技法の一つ。カメラを接近させるという方法そのものは,望遠レンズやズームレンズが発案される前に生み出された。その創始者は,映画史家の間にも諸説があるが,〈映画芸術の父〉D.W.グリフィスとする説が古くからあり,アンドレマルローの《映画心理学概論》(1946)によると,グリフィスがリリアン・ギッシュの顔の美しさに心うたれたときこの技法が生まれたという伝説もある。しかしクローズアップそのものは,世界最初の映画撮影所といわれるエジソンの〈ブラック・マリア〉の設計者で,35ミリフィルムの発明者でもあるW.K.L.ディクソンの《フレッド・オットのくしゃみ》(1899),写真家出身のG.A.スミスの《祖母の読書用拡大鏡》(1900),スコットランドの化学者でイギリス映画の先駆者J.ウィリアムソンの《大食漢》(1901)などの中でも,すでに,すなわちグリフィス以前に使われていたことが明らかにされている。エドウィン・S.ポーターの《アメリカ消防夫の生活》や《大列車強盗》(ともに1903)の中にもクローズアップが使われている。映画評論家H.A.ポタムキンは,《シアター・ギルド》誌(1930)で,メリー・ピックフォード主演《網を繕う人》(1912)でグリフィスが初めてクローズアップを〈芸術的に〉使ったと指摘しているが,1908年から16年間グリフィスに協力したカメラマン,ビリー・ビッツァー(1872-1944)の自伝的回顧録《ビリー・ビッツァー,ヒズ・ストーリー》(1973)によると,グリフィスの《イノック・アーデン》(1911)で,ロングとフルサイズを主体にした当時の映画の描写の中に,決定的な1点を瞬間的にとらえて挿入することによって他のすべてを省略する劇的なクローズアップを使ったことになっている。と同時に,例えばバストサイズでとらえられた人間の顔だけを円で囲んでその表情だけを浮き上がらせたり,双眼鏡でのぞいて見たロングの風景の一部を,双眼の形に囲んでそのようすを浮彫にするといった〈アイリス〉の技法にもクローズアップと同じ志向が見られた。いずれにしても,クローズアップを〈モンタージュ〉の一環として使い,映画を空間的束縛から解放したという意味では,グリフィスこそ真のクローズアップの創始者ということができる。カール・テホ・ドライヤー監督《裁かるるジャンヌ》(1928)は,クローズアップを最大限に活用した作品ラストの処刑と群衆のシーンを除けば,全編ジャンヌ・ダルクと司祭たちとの顔のアップの対決になっている)として知られている。
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百科事典マイペディア 「クローズアップ」の意味・わかりやすい解説

クローズアップ

映画・写真の技法。大写し。撮影の対象を接写し画面いっぱいにとらえ,細部の描写,表現の強調を行う。
→関連項目イントレランスグリフィスドライヤー

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デジタル大辞泉プラス 「クローズアップ」の解説

クローズ・アップ〔映画〕

1990年公開のイラン映画。監督:アッバス・キアロスタミ、出演:ホセイン・サブジアン、モフセン・マフマルバフほか。

クローズ・アップ〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌は歌手で女優の中山美穂。1986年発売。作詞:松本隆、作曲:財津和夫。

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世界大百科事典(旧版)内のクローズアップの言及

【アメリカ映画】より

…ジャン・リュック・ゴダールは〈すべての映画はアメリカ映画である〉といっている。クローズアップモンタージュなどさまざまな映画的手法を開発し,それらを駆使して巧みに長編の物語を語ることをはじめ,それ以後のすべての映画の基礎を築いたのは,〈アメリカ映画の父〉D.W.グリフィスであった。また,スターシステムや撮影所のシステムをはじめ,映画の製作,配給,興行のしくみなど,映画のあらゆる側面を通じて,〈アメリカ映画〉から生まれ発展し,各国の映画にもたらされたものは数多い。…

【遠近法】より

…一つは,空間の描写の断念である。それは極端なクローズ・アップあるいは,周囲を闇に包むことによって行われた(カラバッジョ,レンブラント)。他は,遠近法理論の極限までの利用によって,平たんな面に円筒形の空間のだまし絵を描くこと(イリュージョニズム)で,この代表例がアンドレア・ポッツォとその後継者である。…

※「クローズアップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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