ポートレート(読み)ぽーとれーと(その他表記)portrait

翻訳|portrait

デジタル大辞泉 「ポートレート」の意味・読み・例文・類語

ポートレート(portrait)

肖像肖像画肖像写真
文章による人物描写
[類語]肖像画像影像彫像塑像自画像画面実像虚像残像

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精選版 日本国語大辞典 「ポートレート」の意味・読み・例文・類語

ポートレート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] portrait )
  2. 人物の姿、かたちを写しとった絵画や写真。肖像画や肖像写真の類。
    1. [初出の実例]「趣のある印象派流のポートレートを」(出典:欧米印象記(1910)〈中村春雨〉倫敦日記)
  3. ある人物を紹介する記事。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポートレート」の意味・わかりやすい解説

ポートレート
ぽーとれーと
portrait

肖像、肖像画のことだが、写真の分野では人物写真、肖像写真のことで、人物の風貌(ふうぼう)描写を通して、個性や性格を表現するのを目的とする。日本では女性ポートレートが独立した分野として認められており、女性美のなかの官能性を強調することに力点が置かれている。また営業写真館が撮影するポートレートは営業写真と称され、顧客の注文目的に応じて、見合い写真、婚礼写真、各種記念写真までを含んでいる。

 営業写真が営業目的によって形式的に固定化してきたのに対し、芸術写真の担い手であったアマチュアの人物写真には形式的な拘束性が少なく、写真史上秀作を数多く残している。さらに写真ジャーナリズムの台頭による職業写真家たちのポートレートは1930年代初頭に始まり、モデルの社会的な話題性やキャラクターを強調して新しい展開を示した。ここでは演出による写真家の個性的表現が、とくに重要視されている。

 写真史の初期においては肖像画の模倣が多く、1850年代にはダゲレオタイプカロタイプによる肖像写真が流行し、大衆の肖像画願望を完全に写真が代行するようになる。そして、露出時間を6秒に短縮した湿式コロジオン法の出現が肖像写真熱にいっそう拍車をかけることになった。

 肖像写真はスタジオ撮影が主流だが、スタティック(静的)な表現となるためにしだいに戸外でも撮影されるようになり、1920年代後半からは35ミリカメラの誕生とともにスナップ・ポートレートも盛んになり、また第二次世界大戦後のカメラ大衆化で、アマチュアが日常的にポートレートを撮影するようになったことは注目に値しよう。

 写真史上代表的な肖像写真家には、19世紀ではイギリスのD・O・ヒルやM・カメロンフランスナダール、20世紀初期には心理的な描写を行ったアメリカのスティーグリッツスタイケンがあり、日本では幕末から明治にかけての上野彦馬(ひこま)が著名である。

[重森弘淹]

『C・フォード解説『世界写真全集2 ポートレート』(1983・集英社)』『田中雅夫編『日本写真全集5 人物と肖像』(1986・小学館)』『小久保彰著『現代写真の展開』(1990・筑摩書房)』『ナオミ・ローゼンブラム著、大日方欣一他訳『写真の歴史』(1998・美術出版社)』

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ポートレート」の解説

ポートレート

印刷で用紙方向を縦向きに指定することを指す。肖像を表示する場合、縦長が適していることからこう呼ばれるようになった。これに対し、横向きのことをランドスケープと呼ぶ。また、90度回転させて縦長の状態で使用できるディスプレーのことをポートレート・ディスプレーという。

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世界大百科事典(旧版)内のポートレートの言及

【ナダール】より

…このスタジオを訪れ,ナダールのカメラの前に立った人々には,ボードレール,ゴーティエ,ロッシーニ,リスト,ドラクロア,コロー,サラ・ベルナールなどの詩人,文人,音楽家,画家,俳優がいる。ナダールのポートレート(肖像写真)は,単純な背景の中に全身の4分の3をストレートなライティングで写したものであるが,それは単なる人物の性格描写をこえ,これら芸術家自身の表現世界の広がりさえ感じさせるものであった。また58年には気球に乗り,世界最初の空中写真の撮影を試みたり,61年には3ヵ月をかけてパリの地下に発見されたカタコンベ(地下納骨堂)の撮影を,当時ようやく開発されたアーク灯による人工照明で撮影している。…

※「ポートレート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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