幅の広い高励起の輝線スペクトルを示す高温度の恒星。1867年にウォルフCharles Joseph Etienne Wolf(1827―1918)とライエがはくちょう座に三つのこの種の星を発見したことにちなんで命名され、現在では銀河系中に数百個がみつけられている。ウォルフ‐ライエ星は、窒素の輝線が顕著なWN型、炭素の輝線の強いWC型、酸素の輝線が強いWO型の三つに分類される。いずれも表面温度が数万度以上で、高励起(高エネルギー準位間の遷移による)輝線スペクトルを出し、輝線の幅の広さを物質の流出速度によるドップラー効果とみなすと、秒速2000キロメートル以上で膨張していることになる。観測されている恒星のうちでは、もっとも大質量の部類に属し、太陽の数十倍の質量の星が光子の放射圧によって水素の外層が吹き飛ばされ、内部の高温部分が露出していると考えられる。恒星の進化理論によると、O型星が大量の外層を放出しながら、露出したCNOサイクルの生成物である窒素が顕著なWN型をへてWC型になり、さらにヘリウム燃焼の生成物から生成される酸素の目だつWO型になると解釈されている。また、ウォルフ‐ライエ星は、やがて最後にIb、Ic型といわれる超新星爆発をおこし周辺に物質をまき散らす。
[小平桂一・安藤裕康]
1867年にパリ天文台のウォルフC.WolfとライエG.Rayetによって発見された輝線星の一種。スペクトルはHe,O,N,Cなどの電離イオンが放射する幅広く強い輝線が特徴である。イオンの電離段階から星の表面温度は4万~6万Kと推定される。また,輝線の幅を大気運動によるドップラー効果によるものと考えると,ウォルフ=ライエ星の大気は2000~4000km/sの高速度で流出状態にある。この星には化学組成の異常も知られており,Cに富む炭素系列とNに富む窒素系列に分かれ,星の進化との関係が注目されている。星からの質量流出量は年間太陽質量の10⁻5倍に達し,著しい質量流出を示す星の典型となっている。これまでに発見された同様な星の数は150個あまりにすぎず,銀河系の中でもきわめて特殊な星である。大部分は銀河面に集中しており,年齢の若い天体,とくにO型やB型のアソシエーションと共存している。
執筆者:小暮 智一
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…輝線星は星の中では早期型(高温度)星と晩期型(低温度)星とに現れる傾向がある。前者にはウォルフ=ライエ星,はくちょう座P型星,輝線B型星,超巨星などがあり,なかでもはくちょう座P型星は流出型星周圏をもつ輝線星の典型となっている。晩期型では輝線M型星,長周期変光星,おうし座T型星などが知られている。…
…O,B型の高温度星が広がった大気をもつと輝線スペクトルが現れる。これには,ウォルフ=ライエ星,Be型星,はくちょう座P型星などの星があり,大気の構造や大きな膨張運動によりそれぞれ特徴的な輝線が現れる。惑星状星雲はO型星あるいはウォルフ=ライエ星に似た中心星をもっているが,そのまわりを0.1パーセクにも及ぶ膨大で希薄なガス層が包んでいる。…
※「ウォルフライエ星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...
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