改訂新版 世界大百科事典 「ウキシバ」の意味・わかりやすい解説
ウキシバ
Pseudoraphis depauperata (Nees) Keng
池沼の水中または水辺に生えるイネ科の多年草。茎は細長く,軟らかく,水底の泥土の中に根を下ろし,基部で枝分れして,上部は水面に浮かぶことが多い。浮芝の名はこの生え方に由来するが,本種はシバとは縁遠く,チカラシバに近縁である。葉は茎の節につき,短い線形で,長さ4cm前後,幅3mmで,白っぽい緑色である。盛夏の頃に,枝の先端と茎頂に緑色の花序を単生する。花序は円錐状であるが,枝が軸に沿って立つから穂状に見え,長さ3~6cmである。小穂は長さ5mmの披針形で,その基部に枝の退化した刺針が1本ついている。インド,インドシナ,中国中南部など,熱帯から亜熱帯に分布する水草で,日本では紀伊半島と九州の低地の沼に見られる。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報