トボシガラ(読み)とぼしがら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トボシガラ」の意味・わかりやすい解説

トボシガラ
とぼしがら / 点火幹
[学] Festuca parvigluma Steud.

イネ科(APG分類:イネ科)の多年草。根茎は深く地中をはう。稈(かん)は細く高さ30~60センチメートル、基部に膜質褐色を帯びる葉鞘(ようしょう)がある。5~6月、稈の先端に、まばらに分枝して先端が垂れ下がる、長さ7~15センチメートルの細長い円錐(えんすい)花序をつける。小穂少数で長さ0.7~1センチメートル、3~5個の小花があり、汚紫色を帯びることがある。小花は長さ5~7ミリメートル、成熟すると落ちやすい。丘陵の林内の半日陰に生え、北海道から九州、および朝鮮半島、中国、インドに分布する。名は、本種を点火に用いたことによる。

[許 建 昌 2019年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トボシガラ」の意味・わかりやすい解説

トボシガラ
Festuca parvigluma

イネ科の二年草山野の林内に普通にみられ,多数集って生える。高さ 30~50cm。茎の下部は一般に直立するが,また短く斜上することもある。葉は細長い線形で幅2~3mm,軟らかく垂れ下がる。5~6月,茎頂円錐花序を出し,まばらに小穂をつける。小穂は3~5小花から成り,淡緑色,普通長い芒 (のぎ) がある。

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百科事典マイペディア 「トボシガラ」の意味・わかりやすい解説

トボシガラ

イネ科の多年草。ほぼ日本全土,東アジアにみられ,路傍林下などに普通にはえる。高さ30〜60cmになり,葉も茎も繊細。葉は幅1.5〜3mm。5〜6月に小穂のまばらについた円錐花序を出す。小穂には小花が3〜5個つき,包穎(ほうえい)は小さく,外穎にはのぎがある。

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世界大百科事典(旧版)内のトボシガラの言及

【ウシノケグサ】より

…中国やシベリアでは牧草として羊の飼料にする。 ウシノケグサ属Festuca(英名fescue)は約100種あり,山野の雑草のトボシガラや,南ヨーロッパ原産の帰化植物のナギナタガヤがある。オニウシノケグサなどいわゆるフェスク類は優良な牧草であり,いくつかの種は芝生にも使われる。…

※「トボシガラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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