ウラナミシジミ(その他表記)Lampides boeticus

改訂新版 世界大百科事典 「ウラナミシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラナミシジミ
Lampides boeticus

鱗翅目シジミチョウ科の昆虫。路傍にふつうに見られるヤマトシジミよりもひとまわり大型のシジミチョウで,開張2.6~3.7cm。後翅に長い尾がある。和名は翅の裏面に細かい褐色の波状模様が見られることによる。冬季から早春にかけて羽化する冬型は,夏から秋にかけて羽化する夏型と異なり,後翅後角付近の異色斑が退化する。オセアニア,東南アジア,北アフリカにかけての熱帯亜熱帯地方に広く分布し,日本列島はその分布の北限となっている。日本における土着地域の北限は千葉県房総半島南部で,越冬するためには年平均最低気温12℃以上を必要とするといわれる。マメ科の栽培植物の害虫として知られ,幼虫エンドウソラマメアズキ,インゲン,フジマメなどの果実の中に潜入し,種子果肉を食べる。越冬中はエンドウやソラマメなどの早生品種の果実が食物となる。成虫は移動力に富み,越冬地から発生を繰り返しながら北方に広がり,年によっては北海道にも達する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラナミシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラナミシジミ
うらなみしじみ / 裏波小灰蝶
long tailed blue
[学] Lampides boeticus

昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。ヨーロッパ南部、アフリカ、アジア南部からオーストラリアにわたり広く分布し、ハワイにも産する。南北アメリカには分布していない。日本で本種が越冬できるのは、房総半島の南端部(北限)から以南の太平洋岸の無霜地帯である。房総半島以北の地域でも夏から秋にかけて普通にみられることが多いが、これは越冬地から分散した個体かその子孫と考えられる。寒冷地では越冬できずに死滅する。はねの開張31ミリメートル内外。はねの表面は雄では紫藍(しらん)色、雌では黒褐色、前ばねの中央は広く藍(あい)色。裏面は雌雄とも灰白色ないし淡褐色の地色に褐色の波状斑紋(はんもん)があり、和名はこの特徴に由来する。幼虫のおもな食草はフジマメ、アズキ、ソラマメ、エンドウ、ササゲ、インゲンなどの栽培マメ科植物であるが、クズ、クララ、ヤブツルアズキなどの野生植物にもつく。温度条件の許す限り活動し、特定の越冬態をもたない。

[白水 隆]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウラナミシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラナミシジミ
Lampides boeticus; long-tailed blue butterfly

鱗翅目シジミチョウ科。前翅長 17mm内外。裏面に褐色の波状帯が密にあるためその名がある。表面は雄では青紫色であるが,雌では基半部のみ青みを帯び,外半は暗褐色。後翅には細い糸状の尾状突起がある。幼虫はマメ科の栽培種,野生種の花や若い果実などを食害する。暖地性で,本州では房総半島南部,伊豆・紀伊半島などで越冬し,夏から秋にかけてこれらの地方から本州各地,ときには北海道南部まで世代を繰返しながら移動する。しかし冬を越すことはできず死滅する。四国南部,九州南部と西部,琉球列島などではほぼ一年中みられる。分布は広く,アジア南部,南太平洋の島々,オーストラリア,ハワイ諸島,ヨーロッパ中・南部,アフリカ北部に及ぶ。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ウラナミシジミ」の解説

ウラナミシジミ
学名:Lampides boeticus

種名 / ウラナミシジミ
目名科名 / チョウ目|シジミチョウ科
解説 / 成虫は移動力が強く、北海道でも見られます。
体の大きさ / (前ばねの長さ)16~18mm
分布 / 本州(房総半島)以南
成虫出現期 / 土着地では3~11月
幼虫の食べ物 / フジマメ、エンドウなど

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百科事典マイペディア 「ウラナミシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラナミシジミ

鱗翅(りんし)目シジミチョウ科の1種。小さなチョウで開張33mm内外,うすい紫青色。ほとんど全国にいるが,大部分の地方では越冬できず,毎年暖地から飛来する。幼虫はフジマメなどの花や実を食べ,成虫は年数回発生する。ユーラシア〜アフリカ,オーストラリアの熱帯,亜熱帯に広く分布する。

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