日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウルカギナ」の意味・わかりやすい解説
ウルカギナ
うるかぎな
Urukagina
生没年不詳。シュメール初期王朝時代(前2350ころ)のラガシュ都市国家の王。ウルイニムギナと読むほうが正しいとされている。治世中に書かれた多数の粘土板文書があり、シュメール社会経済史の研究に貴重な資料となっている。また、統治の理念を書き記した、いわゆる「改革碑文」には、神の家、畑を神に戻したとの記述がある。それが、シュメールは神殿都市であるという根拠になっているが、単なる考え方を記述しただけで実体はなかったという批判が有力になっている。孤児、寡婦を保護したという記述は、『ハムラビ法典』に継承される社会正義の最初の宣言であるとされる。同王の時代ラガシュは、隣接する都市国家ウンマのルガルザゲシに敗れ、神殿を焼かれ、略奪を受けた。
[前田 徹]