粘土板文書(読み)ねんどばんもんじょ(英語表記)clay tablet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「粘土板文書」の解説

粘土板文書
ねんどばんもんじょ
clay tablet

西アジア,メソポタミアを中心とした古代オリエント地方で金石と並んで書料として用いられた粘土板総称。チグリス,ユーフラテス両川周辺に無限に堆積する沖積土を練り固めて,そのままあるいは水洗いして楔形文字ないしは絵文字を記し,日干しにして保存。大切なものはさらに窯で焼いて硬くした。形は正方形または長方形,まれに円錐形,円筒形,多角柱形,樽形がある。粘土板文書はイラン地方をはじめ,小アジア,シリア地方でも発見され,エジプトテル・エル・アマルナ,さらにクレタ島からギリシア本土のミケーネ,テーベ,ピュロスからも出土している。

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百科事典マイペディア「粘土板文書」の解説

粘土板文書【ねんどばんもんじょ】

粘板文書,泥板文書とも。沖積土を練り固めてアシなどで楔形(くさびがた)文字や線文字を書き,陽光でかわかしたもので,古代オリエント,エーゲ文明世界などで広く用いられた。前3100年ころのウルク出土文書(〈ウルク文化〉参照)が最古で,メソポタミア地方には楔形文字を記したものが多数ある。耕作地と用水路地図を書いたもの(ニップール出土)などもある。前2400年ころまでの粘土板はシュメール語で書かれているが,近年シリアのエブラ遺跡で発見されたものは未知のセム語の一つであるエブラ語で書かれている。
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世界大百科事典 第2版「粘土板文書」の解説

ねんどばんもんじょ【粘土板文書 clay tablet】

古代オリエント,エーゲ文明世界などで楔形文字,線文字(線文字A線文字B)を記す書料として使用された粘土板の総称。粘土板の形態は長方形,正方形,円形が普通で,エラム地方では扁平な砲弾形なども使用された。このほか円筒形,円錐形,樽形,球形,プリズム形の粘土製文書や煉瓦なども広義の粘土板文書として扱われることがある。楔形文字は一般にアシの茎でつくったで押しつけるようにして書かれ,線文字は尖筆で引っかくようにして書かれた。

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世界大百科事典内の粘土板文書の言及

【ウガリト】より

…その近くのミネト・エル・ベイダ(〈白い港〉の意)には墓域があった。1929年以来C.F.A.シェフェールらのフランス調査団が大規模な発掘を続け,宮殿を中心とする都市遺跡と多数の粘土板文書を出土させた。ウガリトにおける人間の居住の歴史は新石器時代にさかのぼるが,金石併用期になるとメソポタミアとの文化接触の痕跡が見え,西アジアと地中海世界,特にエーゲ・ギリシア世界との接合点としてのこの都市の役割が明らかになる。…

【本】より

…この地方では数千年にわたってこれが書物であり,文化を栄えさせた。イギリスのアッシリア学者G.スミス(1840‐76)が,H.ラッサム(1826‐1910)その他の協力者とともに,数回に及ぶ探検によって,往古のアッシリア図書館の遺跡をしらべた結果,おびただしい数にのぼる粘土板文書が推定され,有名なアッシュールバニパル王のものだけでも,2万部に達するという。現在の書物のページづけに相当する番号が,粘土板の各面にしるされ,共通の見出しがどの陶面にもつけられていた。…

※「粘土板文書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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