エコキュート(読み)えこきゅーと

共同通信ニュース用語解説 「エコキュート」の解説

エコキュート

空気圧縮して高温にし、その熱で湯を沸かして風呂台所に利用するヒートポンプ式給湯器。割安な夜間電力を利用することで電気代を節約でき、環境への負担も少ないとして、オール電化住宅などで普及が進んでいる。日本冷凍空調工業会によると、国内で10社が製造し、2003年度以降に計約418万台出荷された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコキュート」の意味・わかりやすい解説

エコキュート
えこきゅーと

空気中の熱を利用した給湯システムの愛称。正式名称は自然冷媒ヒートポンプ給湯機エコキュートのエコは、エコロジーエコノミーをかけて経済的で環境に優しいという意味を表わし、キュートは給湯をもじった造語である。関西電力の登録商標であるが、各電力会社や給湯器メーカーも使用している。エコキュートは、10MPa(メガパスカル)程度の高圧状態で約100℃の高温になるという、二酸化炭素自然冷媒としての特性を利用して水を湧かす装置で、ヒートポンプユニットと貯湯ユニットで構成されている。ヒートポンプユニットでは、空気から集めた熱を空気熱交換器によって自然冷媒の二酸化炭素に伝えた後、この冷媒を圧縮して高圧、高温状態とし、得られた熱を水加熱用の熱交換器を介して水に伝える。これにより、最高90℃ほどになった熱湯を貯湯ユニットに移し、従来の電気温水器と同様の方法で蓄える。おもに二酸化炭素の圧縮や貯湯の保温に電力を利用するが、水を加熱するための熱エネルギーの多くは、空気の熱と冷媒の温度変化によって得られるため、給湯のエネルギー効率が高い。さらに従来の燃焼型給湯器と比較して、二酸化炭素の排出を半分近くに減少できるという利点がある。

 エコキュートは、ノルウェーの研究機関シンテフエナジーが特許をもつ二酸化炭素の圧縮に関する基礎技術をもとに、日本の電力会社とデンソーやダイキン工業などのメーカーが共同開発し、家庭用給湯器として2001年(平成13)に製品化した。その後、床暖房などもできる高機能型やマンション向けの省スペース型などが製品化され、設置台数は2013年10月末に400万台を超えた。

 2014年12月、消費者庁の消費者安全調査委員会は、隣家などのエコキュートから出る低周波音が、不眠や頭痛などの健康症状の発生原因になる可能性があることを指摘した。低周波音による健康被害については不明な点が多く、根本的な対策はむずかしい。同委員会は経済産業省、環境省、消費者庁、公害等調整委員会に対策を求めており、低周波音による影響の目安となる明確な参照値を示すことなどの対策が検討されている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例