エッフェル(読み)えっふぇる(英語表記)Alexandre Gustave Eiffel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エッフェル」の意味・わかりやすい解説

エッフェル
えっふぇる
Alexandre Gustave Eiffel
(1832―1923)

フランスの技術者。ディジョンに生まれる。パリ中央工芸学校卒業後、1855年以来、数多くの橋梁(きょうりょう)を設計、さらに鉄骨構造に関する理論研究、また空気力学の理論的解明などに多くの成果を残した。とくに、細い部材を合理的に組み立てた軽い鉄骨トラス構造の開発は画期的であり、巨大な鉄梁を必要とした従来の架構法とは異なる、軽量大規模構造物が実施可能となった。1889年のパリ万国博覧会を記念して建てられた、高さ300メートルのエッフェル塔設計で有名である(2012年時点でアンテナを含め324メートル)。1866年に開設した鉄骨建築研究所は、後年ルバロワ・ペレー建築協会に発展し、世界の鉄骨建築研究の中心になった。また、パナマ運河水門の設計を行ったほか、1912年にはオートゥイユに航空力学研究所を設け、エッフェル式風洞を考案した。さらに晩年気象学および風力測定の研究に移った。

村松貞次郎・藤原恵洋]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エッフェル」の意味・わかりやすい解説

エッフェル
Eiffel, Alexandre Gustave

[生]1832.12.15. ディジョン
[没]1923.12.27. パリ
フランスの構造エンジニア。エコール・ポリテクニクおよびエコール・サントラルに学ぶ。 1867年に事務所を設立。初め鉄道橋を専門とし,やがてガラビの水道橋 le viaduc de Garabit (1884) で,風圧力を研究して優れた鉄骨構造法を開発し,165mの谷間をかけ渡した。パリのボンマルシェ百貨店の鉄骨構造 (1876) ,F.バルトルディ設計のニューヨーク港に立つ『自由の女神』の骨組み設計 (1885) を成し遂げたのち,1889年のパリ万国博覧会のために高さ約 300mのエッフェル塔 (1889年3月完成) を設計し,その名声を不滅のものにした。

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