エリアーデ(読み)えりあーで(英語表記)Mircea Eliade

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エリアーデ」の意味・わかりやすい解説

エリアーデ
Eliade, Mircea

[生]1907.3.9. ブカレスト
[没]1986.4.22. シカゴ
ルーマニアの宗教学者,神話学者,小説家。ブカレスト大学卒業後,イタリア,インドに留学。哲学,宗教学を学ぶ。帰国後,ブカレスト大学哲学科の助教授に任命され,同時に評論家としても活躍し,幻想的小説も発表する。第2次世界大戦中に外交官として国を出たまま,パリその他各地で研究生活をおくった。 1956年シカゴ大学教授となり,宗教研究の分野で大きな影響を残した。数十冊をこえる学術書,膨大な学術論文,数十編の中・短編小説がある。主著永遠回帰の神話』 Le Mythe de l'éternel retour (1949) ,『イメージとシンボル』 Images et symboles: essai sur le symbolisme magico-religieux (52) ,『シーャマニズム』 Shamanism (64) ,『聖と俗』 Le Sacré et le profane (65) 。小説『令嬢クリスティナ』 Domnisoara Cristina (36) ,『ムントゥリャサ通りで』 De strada Mântuleasa (67) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エリアーデ」の意味・わかりやすい解説

エリアーデ
えりあーで
Mircea Eliade
(1907―1986)

ルーマニア出身の宗教学者、文学者。3月9日、ブカレストに生まれる。ブカレスト大学で哲学を修め、1928年から1931年までインドに留学、文献と実践の両面よりヨーガを研究して博士号を得た。ブカレスト大学で教えるかたわら小説、評論に健筆を振るい、ルーマニア文壇で活躍した。第二次世界大戦中、大使館付文化担当官としてロンドンリスボン駐在戦後、パリ大学、ローマ大学などで宗教学を講義、その後アメリカのシカゴ大学に迎えられる。著作は数多く、欧米宗教学界に強い影響を及ぼしている。その基調をなすのは地球社会の出現に対応する新しいヒューマニズムで、歴史、文化の差異を超えた人類の共通基盤を神話、象徴、儀礼などの研究によって立証している。文学作品には幻想的、神秘的小説が多い。

[中村恭子 2016年10月19日]

『『エリアーデ著作集』全13巻(1971~1977・せりか書房)』『エリアーデ著、堀一郎訳『シャーマニズム』(1974・冬樹社/上下・ちくま学芸文庫)』

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