エーレンベルク(その他表記)Ehrenberg, Christian Gottfried

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エーレンベルク」の意味・わかりやすい解説

エーレンベルク
Ehrenberg, Christian Gottfried

[生]1795.4.19. デリチ
[没]1876.6.27. ベルリン
ドイツの生物学者,科学探検家,古微生物学の創始者。ベルリン大学で医学を学ぶ (1818) 。 1820~25年,科学調査隊の一員として,エジプトリビアスーダン,紅海を探検,多数の動植物を採集した。 27年ベルリン科学アカデミー会員となり,ベルリン大学動物学助教授 (27) ,教授 (39) 。 29年,A.フンボルトの率いる探検隊に加わって中央アジアやシベリアの一部を調査。探検で採集した動植物の分類,カビ胞子より生じることの発見,サンゴ虫の体のつくりや生活史を明らかにするなど,研究業績は生物学の広範な領域にわたり,地層中に微生物化石を発見して古微生物学の基礎をつくった。また,彼は原生動物滴虫類 (繊毛虫類) を研究し,そこから完全生物の概念をつくり上げ,高等動物がもつ筋肉,生殖器,消化器などのそれぞれに対応する装置が下等動物の体にもそなわっていると考え,それを論拠として自然発生説に反論し,動物を単純なものから複雑なものへと配列する分類法を批判した。彼は完全生物の概念に基づいて分類体系をつくり上げたが,ヒトに関してはそれが知性をそなえているという理由で,他の動物から切り離して扱っている。主著に『完全生物としての滴虫類』 Die Infusionothierchen als volkommene Organismen (38) がある。

エーレンベルク
Ehrenberg, Richard

[生]1851.2.5.
[没]1921.12.17.
ドイツ歴史学派に属する経済学者。近代ヨーロッパ経済史の研究に従事し,特に『フッガー家時代』 Das Zeitalter der Fugger (2巻,1896~97) は近代初期の金融・財政史研究の古典として知られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーレンベルク」の意味・わかりやすい解説

エーレンベルク(Christian Gottfried Ehrenberg)
えーれんべるく
Christian Gottfried Ehrenberg
(1795―1876)

ドイツの微生物学者。デリッチで生まれ、ライプツィヒ大学で医学を学び、のちベルリン大学の医学史教授。フォン・ミヌトリHeinrich Menu von Minutoli(1772―1846)の主宰するエジプト遠征(1820)に参加、これを契機として微生物の顕微鏡観察に没頭した。化石単細胞生物の研究の先駆者で、その大著『微化石地質学』(1854)は、以後長期間この分野の規範とされた。同時に淡水原生動物分類学の創設期を代表する『完全な生物としての滴虫類』(1838)は、最初に多細胞動物から原生動物を分離した画期的な名著で、50属約200種の繊毛虫を中心とし、彼の発見した約350の新種が記載されている。しかし、珪藻(けいそう)やワムシ(輪虫)なども含まれていて、当時の原生動物に対する認識の限界を物語っている。

[石井圭一]


エーレンベルク(Victor Ehrenberg)
えーれんべるく
Victor Ehrenberg
(1891―1976)

西洋古代史家。ユダヤ系ドイツ人。ナチス・ドイツの危険を逃れ、1939年にイギリスに移住、47年に帰化し、ロンドン大学に職を得た。ドイツ的な精神史研究にイギリス的な事実探究がうまく融け合った学風である。ギリシアの国家形態の研究やギリシア喜劇の社会学的考察をはじめ、研究は西洋古代史全般に及んだ。

[古山正人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「エーレンベルク」の解説

エーレンベルク

生年月日:1857年2月5日
ドイツの経済学者
1921年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android