オオダイガハラサンショウウオ
おおだいがはらさんしょううお / 大台ヶ原山椒魚
[学] Hynobius boulengeri
両生綱有尾目サンショウウオ科の動物。1911年(明治44)紀伊半島の大台ヶ原で発見されたのでこの名があり、周辺山地や四国の剣山および石鎚(いしづち)山地、九州の祖母山地に生息する。体長13~18センチメートル。背面は黒色で無斑(むはん)、腹面はやや淡色。5月ごろに源流付近の水中で産卵し、コイル状に巻いた卵嚢(らんのう)を石や倒木に産み付ける。卵径は5ミリメートル、卵数約40個で、幼生の大部分は越冬して翌年に変態し、昆虫、クモ、ミミズなどを食べる。
[倉本 満]
2022年(令和4)、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)で特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売や頒布を目的とした捕獲や譲渡などは原則禁止されている。
[編集部 2023年4月20日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
オオダイガハラサンショウウオ
Hynobius boulengeri; Ohdaigahara salamander
サンショウウオ目サンショウウオ科。日本産の小型サンショウウオ類のなかでは最も大きくなる種の一つで,体長 18cmに達する。体は全体に黒く,腹面がわずかに淡い。紀伊半島,四国および九州の一部のみに分布し,山地の森林にすむ。産卵は晩春から初夏にかけて渓流の上部で行われ,幼生は渓流で成育するが爪をもたない。三重,奈良の両県で県の天然記念物に指定されている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のオオダイガハラサンショウウオの言及
【サンショウウオ(山椒魚)】より
… 日本産サンショウウオ17種のうち14種は[カスミサンショウウオ]属Hynobiusに属するが,ほとんど形態的に類似し,わずかに種によって肋条の数,尾の形状あるいは体色,斑紋などが異なる。頭骨の構造の違いで別属に分けられるオオダイガハラサンショウウオPachypalaminus(=Hynobius) boulengeri(イラスト)は,紀伊半島・四国・大分県の山地に分布し,全長16~20cmに達する日本産サンショウウオの最大種であるが,形態的には他種と大差がない。本州・四国の山地に分布する[ハコネサンショウウオ]Onychodactylus japonicus(イラスト)も全長15~19cmと大きく,円筒状の尾が全長の1/2よりも長い渓流産卵型で,肺を欠く。…
※「オオダイガハラサンショウウオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」