オピオイド(読み)おぴおいど(英語表記)opioid

共同通信ニュース用語解説 「オピオイド」の解説

オピオイド

ヘロインモルヒネのように、ケシに含まれる成分を使った麻薬国連薬物犯罪事務所(UNODC)は今年6月報告書で、過剰摂取による死の危険がある「最も有害な種類薬物」と指摘し、特に米国での乱用に警鐘を鳴らした。昨年4月に急死した米歌手プリンスさんの死因オピオイドの過剰摂取とされる。(ハンティントン共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オピオイド」の意味・わかりやすい解説

オピオイド
おぴおいど
opioid

中枢神経末梢(まっしょう)神経などにある特異的受容体(オピオイド受容体)への結合を介して、強い鎮痛作用を示す物質の総称。植物由来のもの、合成・半合成されたもの、体内で産生されるものがある。オピオイド鎮痛薬は、とくに癌(がん)患者の緩和医療において、クオリティ・オブ・ライフQOL、生活の質)を重視したペインコントロールに積極的に使うことが主流である。そのほかに手術中・術後の痛み、外傷による痛み、長期間続く慢性痛などにも用いられる。WHO(世界保健機関)も癌性疼痛(とうつう)治療法として癌早期からの鎮痛薬使用をすすめ、痛みの増強に応じてオピオイド鎮痛薬を加えることを勧告している。近年、さらに優れた鎮痛効果を示す新薬や医療用麻薬に指定されていない内服薬も開発され、癌性疼痛のみならず慢性疼痛にも著効性が確認されているが、日本では導入が遅れている。ほかに坐薬(ざやく)や皮膚に貼る貼付(ちょうふ)薬などさまざまな剤形のものも開発され、注射薬としても皮下・筋肉・静脈注射用などの種類がつくられている。しかし基本的には医療用麻薬であり依存性の問題を残しているため、腰痛や関節痛、神経障害性疼痛ほかの慢性疼痛、および術中・術後の痛みや外傷痛など侵害受容性疼痛に対する使用は控えるべきという意見もある。医療に多用されるオピオイドには、リン酸コデイン、塩酸モルヒネ、オキシコドン、クエン酸フェンタニル、ペンタゾシンなどがある。オピオイド使用によるおもな副作用には便秘や吐き気・嘔吐(おうと)などがあり、硬膜外への麻酔薬投与時に掻痒(そうよう)感を伴うこともある。

[編集部]

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