オロモウツ(読み)おろもうつ(英語表記)Olomouc

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オロモウツ」の意味・わかりやすい解説

オロモウツ
おろもうつ
Olomouc

チェコモラビア地方中部の都市。ドイツ語名オルミュッツOlmütz。人口10万3293(2001)。モラバ川とビストジツェ川の合流点に位置する。肥沃(ひよく)な農業地帯ハナー地方の中心都市。チェコの東西と南北を結ぶ交通の要地。11世紀に源を発し、1314年からはモラビアの首都となったが、三十年戦争でスウェーデン軍に破壊され、1641年に首都がブルノに移された。18世紀以降は、1777年に置かれた大司教座とオーストリア要塞(ようさい)にみられるように、宗教的、軍事的な特色をもった。要塞のため都市の近代的発展は遅れ(1888年に要塞は撤去)、工業化は第一次世界大戦後に進んだ。現在は乳製品、蒸留酒、缶詰製糖など食品工業の中心地である。プラハに次ぐ同国の古都として、11世紀来の聖バーツラフ大聖堂、13世紀来の市庁舎をはじめ、ロマネスクゴシックルネサンス、バロック各期の歴史的建造物が多く残されている。1573年創建のパラツキー大学がある。

中田瑞穂

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オロモウツ」の意味・わかりやすい解説

オロモウツ
Olomouc

チェコ東部,モラバ (モラビア) 地方中部の都市。ドイツ語ではオルミュッツ Olmütz。ブルノの北東約 70kmに位置する。ドナウ川支流のモラバ川にビストシツェ川が合流する地点で,豊かな近郊農村をもつ。製鉄,機械などの工業のほか薬品,食品の製造が行なわれる。 14世紀のゴシック様式の大聖堂をはじめ,歴史的な建築物が多く,カエサルの泉,塔のある市庁舎は特に有名。 18世紀初頭建造の聖トリニティ碑は 2000年世界遺産の文化遺産に登録された。町はローマ時代の要塞以来の古い歴史をもち,司教区になったのは 1063年。 19世紀末近くまで,要塞都市としてシュレジエン,モラビアなどをめぐるオーストリア,プロシアなどの争いに重要な役割を果たした。人口 10万 5690 (1991推計) 。

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