カイロ大学（読み）カイロだいがく

大学事典

カイロ大学［エジプト］
カイロだいがく

ムハンマド・アリー朝フアード1世が1908年私立エジプト大学として創立し，名高いオリエンタリストによる欧式教育が本格化すると，アズハルの伝統教育に飽き足らない人材を国内外から集め，欧留学を経験した新知識人を数多く輩出した。1925年に国立大学に改編（人文，自然科学，法，医学部），35年に工，商，農学部，46年には教員養成（既存ダール・アルウルーム）を編入，獣医学部が追加された。死後，創立と運営に貢献したフアード1世の大学名を大学名に冠したが（1940年），ナセルの共和体制になって現在のカイロ大学と変更された（1952年）。分校として，国内では1938年アレクサンドリアに人文・法学部が設立され，42年ファールーク大学（エジプト）として独立した（52年に現在のアレクサンドリア大学（エジプト）に改称）。1976年にはファイユーム（2005年ファイユーム大学（エジプト）として独立）とベニ・スエフ（2005年ベニ・スエフ大学（エジプト）として独立）にも分校が設置された。国外では，1955年スーダン・ハルトゥームに創立され（1993年スーダン国立ニーレイン大学に改変），周辺地域に知的伝統を涵養し人材を輸出する重要な役割を担った。2013年現在，27の学部と研究所から構成される巨大な組織となっている。
著者: 阿久津正幸

出典　平凡社「大学事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

カイロ大学
かいろだいがく
University of Cairo

1908年エジプト大学（私立）として創設され、1925年に国立に移管された。アル・アズハル大学と並ぶエジプトの代表的大学。設立当初は文・理・法・医の4学部構成であったが、1999年現在、文学、法学、医学、政治・経済学、理学、商学、工学、歯学、薬学、農学、獣医学、マス・コミュニケーション学、考古学、ダールル・ウルム学（イスラム学）、理学療法、都市計画、コンピュータ・情報科学の17学部のほかに、看護学、癌(がん)研究、自然療法、統計学、アフリカ学などの高等研究所、分校（4か所）には、伝統的な学部のほかに教育学、観光ホテル学などの新学部が開設されている。教員数約5000人、学生数約10万1500人の規模となっている。

［馬越　徹］

[参照項目] | アズハル大学

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

カイロ大学
カイロだいがく
Cairo University

ギザにあるエジプトでいちばん古い近代大学。共学制，国立。エジプトの民族主義思想家のムスタファー・カーミルの要請にこたえて，1908年現在アメリカン大学があるカイロのナスターに設立，25年国に移管されてエジプト大学となり，芸術，科学，法律，医学の4学部があった。 40年にファド1世大学，53年にカイロ大学となる。文学，法学，医学，政経，理学，商学，工学，歯学，薬学，農学，獣医，マス・コミュニケーション，考古学などの学部と高等看護学院をおき，統計学研究所，アフリカ研究所，癌研究所などの研究所を付置している。教員数約 5000名，学生数約 10万 1400名 (1997) 。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典