カシュニッツ(その他表記)Marie Luise Kaschnitz

改訂新版 世界大百科事典 「カシュニッツ」の意味・わかりやすい解説

カシュニッツ
Marie Luise Kaschnitz
生没年:1901-74

ドイツの女流詩人。第2次大戦後つぎつぎに発表された作品詩集フランクフルトへの帰還》(1947)などで,反戦姿勢と政治的色彩の強い詩人として認められた。1955年ビュヒナー賞受賞。短編集《長い影》(1960)は,明晰な文章で,生の中にひそむ説明しがたいものを描き出す独特な語りのリズムを示すものとして高く評価された。そのほか短編集《長距離電話》(1966)などがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カシュニッツ」の意味・わかりやすい解説

カシュニッツ
Kaschnitz, Marie Luise

[生]1901.1.31. カールスルーエ
[没]1974.10.10. ローマ
ドイツの女流詩人,作家。ローマで考古学者カシュニッツ=ワインベルク男爵と結婚。以後夫の研究旅行に同行して,イタリア,ギリシア,北アフリカ,トルコなどをたずねる。この体験がのちの創作の基礎となった。自伝的な小説『愛の始り』 Liebe beginnt (1933) ,『エリサ』 Elissa (36) ,短編集『長い影』 Lange Schatten (60) ,『詩集』 Gedichte (47) ,『新詩集』 Neue Gedichte (57) ,夫の死に触発された詩集『あなたの沈黙,私の声』 Dein Schweigen- meine Stimme (62) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カシュニッツ」の意味・わかりやすい解説

カシュニッツ
かしゅにっつ
Marie Luise Kaschnitz
(1901―1975)

ドイツの女流詩人。小説『愛が始まる』(1933)で創作活動に入り、第二次世界大戦後、疎開先から長く住んでいたフランクフルトに帰ったときの感動を歌った長詩『フランクフルトへの帰還』(1946)を発表して名声を得た。以後詩作のほか、ラジオドラマ脚本や『長い影』(1960)、『長距離電話』(1967)などの物語、青春時代を過ごしたローマにまつわる瞑想(めいそう)的なスケッチ天使の橋』(1955)などエッセイ領域に至るまで幅広く活躍し、古代の神話世界に潜入しながら南国風の叙情性豊かな作品を残した。1955年にビュヒナー賞受賞、67年にはフランクフルト大学名誉博士号を授与された。

[早崎守俊]

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百科事典マイペディア 「カシュニッツ」の意味・わかりやすい解説

カシュニッツ

ドイツの抒情詩人,作家。伝統的なスタイルの中に生の不安をとらえた。《フランクフルトへの帰還》(1947年)などの詩集のほか,自伝的回想《幼時の家》,短編集《長い影》,ラジオ・ドラマ,評論なども書いている。

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