友子(読み)トモコ

デジタル大辞泉 「友子」の意味・読み・例文・類語

とも‐こ【友子】

ともだち友人
「―友達へのつらづくだ」〈滑・浮世風呂・四〉
[補説]書名別項。→友子

ともこ【友子】[書名]

高橋揆一郎の小説。平成3年(1991)刊。翌年、第11回新田次郎文学賞受賞。友子は炭鉱労働者共済組織のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「友子」の意味・読み・例文・類語

とも‐こ【友子】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ともだち。
    1. [初出の実例]「まかり間違って爰はといふ時にゃア、友子(トモコ)友達への面づくだ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
  3. 江戸時代鉱山一人前坑夫をいう。一定の見習い期間(三年三か月一〇日)の掘子の修業をへて、さらに三年三か月の修業を終えた者。

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改訂新版 世界大百科事典 「友子」の意味・わかりやすい解説

友子 (ともこ)

坑夫の構成する,技能養成と自助的救済を目的とした集団。金属鉱山を中心に,一部は石炭山にも見いだすことができた。最近では歴史的な研究が進み,江戸末期にはすでに組織だった形をとっていたことが立証されているが,起源は必ずしも明らかではなく,おおむね江戸中期には成立していたと考えられる。その機能は三つに分けて考えることができる。第1は技能伝授で,友子に加入すると特定熟練坑夫との間に親分子分,兄分・弟分等の杯のやりとりをし,子分,弟分は親分,兄分から技術を修得するとともに,鉱山の共同生活を行ううえでなにかと庇護を受けた。第2は自治機能で,友子に入ってからの年数による元老大工・新大工等の身分と,箱元・大当番・当番頭等の役柄があり,鉱山内の諸事を取り仕切った。しかしより重要なのは第3の救済機能で,落盤陥没等の危険や珪肺等の職業病に悩まされがちな坑夫にとって,病気・負傷・死亡等に対して救済を行うほか,全国鉱山に同様の組織が存在することから,連係を取り合いつつ,移動にあたって一宿一飯を供して就職斡旋を行い,1鉱山では救済しえない重傷病者に奉願帳を与え,諸鉱山を回遊させて全国の友子の負担で救済すること等が行われた。とくに親分・子分の関係は生涯存続し,子分には親分の墓碑の建設も義務づけられ,鉱山を単位とした救済以上の役割が課されていた。しかし,こうした友子も第1次大戦後の恐慌などで全国単位の救済がくずれ,第2次大戦後,労働組合運動隆盛化のなかで1鉱山を中心とする救済も無力化し,第3の親分子分集団としての共済も高度成長期を経てほとんど消滅した。
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百科事典マイペディア 「友子」の意味・わかりやすい解説

友子【ともこ】

鉱山労働者の相互扶助組織。落盤,珪肺(けいはい)等の職業病や閉山の不安にさらされた生活を背景に,江戸中期にはすでに成立,やがて全国的規模に成長した。技能伝授の機能を果たすとともに,傷病への救済や失業者の就職斡旋(あっせん)等を行い,坑夫の移動時には友子同士が一宿一飯を供する仁義が守られた。第2次大戦後に消滅した。
→関連項目親分・子分

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「友子」の意味・わかりやすい解説

友子
ともこ

江戸時代から近代まで続いた鉱山労働者 (坑夫) の組合制度による一種の身分で,掘子 (ほりこ) などの見習い修業を経て初めて友子として取立てられた。友子になると,自助的な共済組織である友子同盟の成員として認められ,傷害,不具,廃疾などの場合,扶助,救済を受けることができた。

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