カスリン台風(読み)カスリンたいふう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カスリン台風」の意味・わかりやすい解説

カスリン台風
カスリンたいふう

1947年9月14~15日に関東地方西部,北部山岳地帯に豪雨を降らせ,東京都,埼玉県に未曾有の大水害を発生させた台風死者 1077人,行方不明者 853人,住宅損壊 9298棟,浸水 38万4743戸。台風の中心は 15日房総半島先端をかすめて 16日には三陸沖へ進んだ。台風は日本に接近したときには衰弱しており,強風による被害は少なかったが,日本付近に停滞していた前線の活動を活発化させて豪雨を降らせ,神奈川県箱根町では総雨量 700mm,埼玉県秩父市では 611mmに達した。このため水害は関東地方一円に及び,利根川は埼玉県栗橋町で堤防決壊濁流江戸川に沿って南下,江戸川と荒川放水路に挟まれた一帯に氾濫した。水が完全に引いたのは 10月中旬であった。群馬県赤城山では山津波が起こリ,東北地方では北上川が氾濫し,岩手県一関市などで大きな被害が発生した。

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