天頂(読み)てんちょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「天頂」の解説

天頂
てんちょう

ここでは天文天頂とよばれるものをさすことにする。これは鉛直線地球の重力の方向。地球の重力とは、地球の引力と自転遠心力の合力をいう)を上方に延長し、天球と交わった点をいう。天頂はその定義から明らかなように、高度90度の点である。天頂から天体までの角距離を天頂距離といい、これは高度の余角(直角になる二つの角の一方)である。天頂と天の北極(地球の自転軸を延長した直線が天球と交わる点のうち北のものをいい、南のものは天の南極という)を通る大円が子午線である。

 天頂では大気差(大気による光の屈折のため、本来の位置より星が天頂方向にずれて見えること)が理論上なくなるので、精密な緯度や時刻の決定には、日周運動により天頂のきわめて近くを通る恒星の天頂距離や子午線通過時刻を観測する。このため、つねに天頂を向くようにつくられた特別の望遠鏡を天頂儀という。

[大脇直明]

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精選版 日本国語大辞典「天頂」の解説

てん‐ちょう ‥チャウ【天頂】

〘名〙
① 天。そら。また、いただき。かしら。てっぺん頂上。〔張説‐三月二十日詔宴楽遊園詩〕
② 地球上の任意の観測点における鉛直線が上方で天球と交わる点。天頂点。⇔天底
※管蠡秘言(1777)「天頂・地平・底極は、人の見る所よりこれを名く。〈〉其頂に当て仰で見るの処を、天頂と名づく」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「天頂」の解説

天頂
てんちょう
zenith

地球上の観測者を通る鉛直線が上方で天球と交わる点。天球上のその対蹠点天底といい,ともに球面天文学上重要な点である。地球が完全な球形でなく,かつ自転による遠心力が働くため,観測者と地球の中心を結ぶ直線が天球と交わる点は,天頂からわずかにはずれており,これを地心天頂という。

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百科事典マイペディア「天頂」の解説

天頂【てんちょう】

天文学では,観測地点における鉛直線が上方で天球と交わる点。観測地点と地球中心を結ぶ直線が上方で天球と交わる点を地心天頂,準拠楕円体におろした法線が上方で天球と交わる点を測地天頂という。天底の対。

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世界大百科事典 第2版「天頂」の解説

てんちょう【天頂 zenith】

天球の中心を観測者としたとき,そこにおける鉛直線を延長すると天球で2点と交わる(図)。その上方の交点を(天文)天頂,下方を(天文)天底という。地球上の1点から準拠楕円体におろした法線の延長が天球と交わる2点のうち,上方の交点を測地天頂,下方を測地天底という。楕円体である地球の中心から観測者を通る直線が天球と交わる2点のうち,上方の交点を地心天頂,下方を地心天底という。地心天頂と測地天頂は,観測者が地球の南北の極か赤道上にいる場合以外は一致しない。

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