ここでは天文天頂とよばれるものをさすことにする。これは鉛直線(地球の重力の方向。地球の重力とは、地球の引力と自転遠心力の合力をいう)を上方に延長し、天球と交わった点をいう。天頂はその定義から明らかなように、高度90度の点である。天頂から天体までの角距離を天頂距離といい、これは高度の余角(直角になる二つの角の一方)である。天頂と天の北極(地球の自転軸を延長した直線が天球と交わる点のうち北のものをいい、南のものは天の南極という)を通る大円が子午線である。
天頂では大気差(大気による光の屈折のため、本来の位置より星が天頂方向にずれて見えること)が理論上なくなるので、精密な緯度や時刻の決定には、日周運動により天頂のきわめて近くを通る恒星の天頂距離や子午線通過時刻を観測する。このため、つねに天頂を向くようにつくられた特別の望遠鏡を天頂儀という。
[大脇直明]
天球の中心を観測者としたとき,そこにおける鉛直線を延長すると天球で2点と交わる。その上方の交点を(天文)天頂,下方を(天文)天底という。地球上の1点から準拠楕円体におろした法線の延長が天球と交わる2点のうち,上方の交点を測地天頂,下方を測地天底という。楕円体である地球の中心から観測者を通る直線が天球と交わる2点のうち,上方の交点を地心天頂,下方を地心天底という。地心天頂と測地天頂は,観測者が地球の南北の極か赤道上にいる場合以外は一致しない。また測地天頂と天文天頂も,一般にその地点の重力の方向と楕円体法線の方向が違うため一致しない。
執筆者:古川 麒一郎
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