日本大百科全書(ニッポニカ) 「カミン石」の意味・わかりやすい解説
カミン石
かみんせき
caminite
硫酸塩鉱物の一つ。チムニー(熱水噴出孔)から供給された熱水と海水の反応によって生成された特殊なマグネシウムの含水塩基性硫酸塩鉱物で、1986年、東大西洋海嶺(かいれい)北緯21度付近の海底で発見された。130℃以下で不安定となり、海水と反応して溶解する。産状も特殊であるが、結晶構造も特殊で、合成物も含めると、MgSO4・xMg(OH)2・(1-2x)H2Oで、x=0.15~0.5程度まで幅があり、天然物はx=0.4を与える。
自形は不完全ではあるが顕微鏡的な正方複錐(ふくすい)を呈することがある。多くは集落状である。日本やその周辺地域からの産出は知られていない。現在産地は1か所だけである。共存鉱物は硬石膏(こうせっこう)のみ。同定に必要なデータは供給されていない。命名は「煙突」を意味するラテン語のカミンcaminにちなむ。
[加藤 昭]