日本大百科全書(ニッポニカ) 「カムポーグ石」の意味・わかりやすい解説
カムポーグ石
かむぽーぐせき
kamphaugite-(Y)
カルシウム(Ca)およびイットリウム(Y)族希土の含水塩基性炭酸塩の新鉱物。1993年ノルウェーのリアーLier地方ヘルテコーレンHørtekollenなどから記載された。類似鉱物は知られていない。c軸に扁平(へんぺい)な正方あるいは八角板状。球顆(きゅうか)状集合あるいは皮膜状集合をなす。スカルン中に末期の生成物として産する。交代作用を受けたアルカリ花崗岩(かこうがん)中にも産する。また炭酸塩化を受けた火山岩中の石英‐重晶石脈中に産する。日本では京都府亀岡市畑野(はたの)町広野(ひろの)、岐阜県中津川(なかつがわ)市苗木(なえぎ)の花崗岩質ペグマタイトから報告されている。
広野のペグマタイトからはミラル石milarite(化学式KCa2Be2Al[Si12O30]・0.5H2O)、バベノ石bavenite(Ca4Al2Be2[(OH)2|Si3O10|Si6O16])、蛍石(ほたるいし)、方解石、微斜長石、曹長石、輝水鉛鉱、石英などが確認されている。他の白色の希土類元素の含水炭酸塩と肉眼だけでは識別できない。命名はノルウェーの鉱物収集家アーリング・カムポーグErling Kamphaug(1931―2000)にちなむ。
[加藤 昭 2016年2月17日]