カムラン湾(読み)かむらんわん(英語表記)Vinh Camranh

共同通信ニュース用語解説 「カムラン湾」の解説

カムラン湾

10万トン級の船舶停泊が可能な天然の良港ベトナム海軍が基地を置き、ロシアから購入した潜水艦などを配備している。南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島からは約570キロ、南沙(同スプラトリー)諸島からは約460キロで、双方有事に対応可能とされる。ベトナム戦争の際は旧南ベトナムが統治し、米軍が使用。1979年に旧ソ連がベトナムと無償使用協定を結び、2002年にロシアが撤退した。(カムラン共同)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カムラン湾」の意味・わかりやすい解説

カムラン湾
カムランわん
Vinh Cam Ranh

ベトナム中南部,カインホア省にある湾。ホーチミン市の東北東約 300kmの南シナ海沿岸に位置する。湾口は南北から突出した小半島にはさまれて幅約 2kmと狭いが,湾内は奥行約 15km,幅は約 30kmと広がり,常時多数の船舶の停泊が可能。水深は 10~30m。サンフランシスコ,リオデジャネイロと並ぶ世界でも指折りの天然の良港であるが,背後アンナン山脈系の山地が迫るため開発が遅れ,従来港の機能は十分に活用されていなかった。しかし 1960年代ベトナム戦争の激化に伴って,アメリカ合衆国軍の大基地が設置されてから急速に開発され,湾岸のカムラン市の都市化も進んだ。 05年日露戦争の際,ロシアのバルチック艦隊寄港,第2次世界大戦中は日本海軍が使用した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カムラン湾」の意味・わかりやすい解説

カムラン湾
かむらんわん
Vinh Camranh

ベトナム南東部、南シナ海に面する湾。アンナン山脈の南部が海に陥没して生じた地形で、ベトナム沿岸では最良の港の一つとなっている。湾の入口の幅は1.2キロメートルほどで狭いが、内部は広く水深があり、四季を通じて大小の船が安全に投錨(とうびょう)できる。日露戦争時の1905年、東航するロシアのバルチック艦隊が寄港したことで知られ、ベトナム戦争ではアメリカ海軍の基地となった。主要港はバゴイ。

[別技篤彦]

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