改訂新版 世界大百科事典 「ウミネコ」の意味・わかりやすい解説
ウミネコ (海猫)
black-tailed gull
Larus crassirostris
カモメ目カモメ科の海鳥。全長約46cm,翼の開張約110cm。日本,サハリン,南千島,朝鮮半島,中国沿岸などの海域に分布する。日本各地の離島や岩礁などに集団で繁殖している。北海道天売島,青森県蕪島,岩手県椿島,宮城県江ノ島,山形県飛島,島根県経島などが集団繁殖地としてよく知られ,天然記念物にもなっている。日本ではもっともポピュラーなカモメ類で,一年中見ることができるが,沖縄地方では少ない。繁殖年齢に達するまでに満3年かかるため,成鳥は夏季に繁殖地に集合するが,若鳥は各地の湾や河口,海岸などで過ごしている。地上に枯草,海藻,羽毛などを敷いて簡単な巣をつくり,暗色模様のある卵を1腹2~3個産む。4~7月の繁殖期以外はおもに海上で過ごし,魚類を食べている。この鳥の海上での集合状態を見て,漁に役だてている地方もある。翼の上面は黒色で下面は白色。尾に黒帯があり,上下くちばしとも先端に黒・赤色斑があるのが特徴。ミャーオという鳴声がネコの鳴声に似ているのでこの名がある。
執筆者:柳沢 紀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報