改訂新版 世界大百科事典 「カワラマツバ」の意味・わかりやすい解説
カワラマツバ
Galium verum L.var.asiaticum Nakai f.nikkoensis(Nakai)Ohwi
河原の土手や山野の日当りのよいところに普通にみられるアカネ科の多年草。名前は河原松葉の意味である。若芽を食用とする。根はひげ状で,アカネのように赤くなる。茎は高さ60~80cm,四角くて堅い。葉は松葉に似て長さ1~4cm,茎の上部のものは短くなる。6~12枚の葉が輪生しているが,このうち2枚だけが真の葉で,他は托葉が分裂して葉のようになったものである。花は4数性で小さく,茎の上部の真の葉の葉腋(ようえき)から出た枝に多数つき,夏に咲く。花冠は直径2.5mm,白色。子房は下位,2室で各室に1胚珠がつく。子房室がそれぞれふくらむため,果実はひょうたん状となり,熟すと二つに割れる。北海道から九州,さらに朝鮮に分布する。花の黄色いものをキバナカワラマツバf.asiaticumという。子房に密に毛があり花が淡黄色のものをエゾノカワラマツバvar.trachycarpumといい,北海道から東アジアに広くみられる。なお種としてはヨーロッパまで分布していて,ヨーロッパでは根を赤色染料に,茎の搾り汁をチーズ製造に利用した。英名をbedstrawという。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報