カーシャーン(読み)かーしゃーん(英語表記)Kāshān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カーシャーン」の意味・わかりやすい解説

カーシャーン
Kāshān

イラン北部,マルカジー州南東部の都市。イラン中央山脈東麓の砂漠中のかつて重要だった隊商路上にあり,イラン縦断鉄道の南東支線に沿う。古い都市で,南西 3kmにはこの高原で発見された最も古い定住生活の遺物を出土する有史以前のテペシャルク遺跡がある。かつてはペルシア陶器製造の中心地で,装飾陶器とタイルは広く中東一帯に送出され,そのラスターウェア (光沢陶器) は特に知られた。イランで最高の品質の羊毛と絹のカーシャーン絨毯がつくられるが,近代工業の発達はあまり進んでいない。人口 15万 5188 (1991) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーシャーン」の意味・わかりやすい解説

カーシャーン
かーしゃーん
Kāshān

イラン中部、テヘラン州南東部の都市。大塩湖南端に位置する砂漠の町である。人口20万1372(1996)、30万4487(2016センサス)。夏は非常に暑く乾燥し、住民は熱暑を避けて地下室で過ごす。用水カナート(地下水路)と河川水の貯水槽で賄われている。近郊のテペ・シアルクイラン高原における先史時代最古の遺跡の一つ。じゅうたん、別珍、絹織物銅細工で知られ、モザイク・タイルの発祥の地とされる。市内にはセルジューク朝期の建築物も多い。

[香川優子]

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